「うーん」「あっ! いや…? うーん」4つのコンクリートブロックを前に、大の大人が4人で頭を悩ませていた。小屋の基礎の位置が決まらないのである。4つのブロックの置き場所は小屋の4つの角、すなわち小屋の形を決める。正確に置けば正確な小屋ができるが、でたらめに置けばでたらめな小屋ができる。たとえば、ブロックが本来の位置から10㎝ズレただけでものちのちさまざまな問題が起こるだろう。たとえば壁がくっつかない、床が入らない、扉が収まらない、などなど。さらに問題なのは強度だ。細部が歪んだまま無理に小屋を建てれば強度が落ちる。子どもが遊ぶ場所に安全でないものは、作れない。
そういうわけで我々はいたって真剣なのだが、はたから見れば地面に置いたブロックをちょこちょこいじってはそれを見つめてたまにうなっている、ちっとも仕事をしていない大人たちみたいに映っていただろう。これだから素人は困るぜ。まあこっちも素人だけどな。
一緒にうなってくれているのは、親子開拓団のお父さんたちである。きむさん、まささん、もっちー。みんなリーダーネーム(あだ名)がついている。こちらが小屋チームだ。子どもたちも島に来てくれていたが、この作業は地味過ぎて耐えられないだろうということで、もう一つのチームを作った。それが山頂草刈りチーム。はとさん、しまごろう、お母さんたちが子どもたち全員を連れて、カトパンと一緒に山頂の草刈りに行っている。子どもたちが戻って来るまでにパイプを何本か組んでおかないと「何も進んでないじゃん」とか言われそう。これだから素人は困るぜ。まあ実際進んでいないけどな。
さて、現状を整理しよう。我々が地面に描きたいのは、3m四方の正方形だ。その四つ角に、正確にブロックを置きたい。まず1つ目を置く。これはズレようがない。そこからメジャーで測って3m先に2つ目のブロックを置く。これも問題ない。そして3つ目。ここからが問題だ。①②と②③のラインが工藤静香のような、完全な直角を描くように3つ目を置かなければならない。直角じゃないかもしれない予感をそれとなく感じながら、恐るおそるブロックを置く。そして最後の4つ目も慎重に置く。これで四角はできた。あとはこれがズレていないかどうかだ。ゴクリ。では、①から順にメジャーで辺の長さを確かめてみよう……3m、3m、3m、3m22㎝。22㎝……? きれいな四角に見えるだろ。ズレてるんだぜ。それで……ウソみたいだろ。
というわけで、我々はうなっていたのだった。と、ここでひらめく。3mの測り方を変えるのだ。資材のなかにちょうど3mの鉄パイプがある。それを定規代わりに使えばいい。まず4本のパイプでだいたい四角を作ったあと、各パイプの両端が合うように調整すれば1辺は必ず3mになる! 勝ったッ!
しかし、このときはまだ重大な見落としがあることに気づいていなかった。
花まる学習会 橋本一馬
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