【無人島レポート-2022夏-】開拓団①

【無人島レポート-2022夏-】開拓団①

 5人用テント10張り。3×3タープ3張り。ドラム缶風呂3、防災用トイレ2。焚火場、炊事場、物干し場。楽器演奏可。日当たり良好、オーシャンビュー。夜は街の灯りに薄まらない星空もお楽しみいただけます。

 2022年サマースクール時点での無人島キャンプサイトの状況である。もちろん、これらの環境は最初から整っていたわけではない。無人島プロジェクトがスタートした2020年当初、ここはどこへ行くにも草をかき分けて進まなければいけないほどの一面の藪だった。それから1年、2年と開拓を続けて、ようやくいまの状態になった。その原動力は「開拓団」の存在である。

 花まる無人島開拓団は、花まる会員保護者による有志の集まりである。広島までの交通費が自己負担であるにもかかわらず、開拓団募集の呼びかけに多くの方が応えてくれた。その結果、第1期は4次まで開拓団が組まれている。参加に必要な資格は一切ない。開拓というと男性的なイメージが強いかもしれないが、お母さんの参加者もいる。さまざまな方が集まり、さまざまな力が組み合わさった。海や船に詳しかったり、DIYの腕がセミプロだったり、野生の植物を見分けられたり、木登りが得意だったり、おいしいキャンプ料理を知っていたり……現場でそれぞれの持ち味を活かすところはさすがメシが食える大人、花まるのお父さんお母さんである。いま無人島でキャンプができるのは、そんな開拓団の方々のおかげだ。

 開拓団のお仕事は、草刈り、ゴミ拾い、山道づくり、倉庫づくりなどいろいろあるが、最も骨が折れるのが「ダンチクの抜根」である。ダンチク(暖竹)は暖かい海岸に育つ竹に似た植物で、細身だが「世界の侵略的外来種ワースト100」に名を連ねるほど並み外れた繁殖力がある。地上部分をすべて刈りとっても、根さえ生きていれば2~3日後には青々とした新しい竹が出てくるほどだ。その上、土壌のヒ素や重金属を吸収するというのだから、もはやナウシカの「腐海」である。島の沿岸は大部分がダンチクに飲まれていて、テントを張るどころか足を踏み入れることもできない。そんなわけで、まずは島にはびこるダンチクを駆除しなければならないのだが、これが一筋縄ではいかない。
 ダンチクの駆除が難しい一番の理由は、地下茎だ。竹は地下にも太い茎を伸ばす。張りめぐらされた地下茎はまるで要塞のようで、スコップを差し込もうとしても、アイドルの前髪かと思うほど頑丈で刃が立たない。まして引き抜こうとするのは、アイドルと結婚しようとするくらい無謀なことだ。しかし、方法がないわけではない。カトパンと編み出した秘策がある。もちろん結婚ではなく抜根の。アイドルと結婚する方法はまだ見つかっていない。

花まる学習会 橋本一馬

 

侵略的外来種、ダンチク。刈りとってもすぐに生えてくる驚異の生命力。

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花まる子ども冒険島
モノであふれた社会とはかけ離れた島、無人島。
今日を生き抜くために、頼りになるのは自分の心。
そこは、野外体験の究極の場となる。
強い『心』と自分の『目』を磨き、『自分の言葉』で語れる人に。
心と身体を強くする、花まる子ども冒険島が、いま始まる。
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