闇のなかで声が聞こえる。「おい…どういうつもりだ…そういう言葉はオレたちの世界にはねーんだぜ…『事業は何か』そんな言葉は使う必要がねーんだ。なぜならオレたちがその言葉を頭に思い浮かべたときには! もう顧客からスタートしてるからだッ! オレたちのマネジメントは、一度理念を額に入れればいつまでも成功が続くと信じきっているようなおとぎ話とはわけが違うんだからな…いつも『事業は何か』と心のなかで思ったならッ! そのときすでに顧客の定義が始まっているんだッ! 『顧客は誰か』なら使ってもいいッ! 顧客を定義…せよ…せよ……」声は反響しながら遠のいていき、やがて消えた。入れ替わるように戻りつつある意識のなかで、私は声の主を思い出そうとする。そして目が覚めた。「ド、ドラッカー兄貴!」
というようなことは一切ないのだけれども、無人島の顧客が誰なのかについては考えたことがある。まず子ども。次に保護者のみなさん、そして花まるの社員である。将来的には花まるにかかわりのない一般の人たちにも開かれた島を目指したいが、当面はこの3つの顧客に対して島の教育資源を提供することになる。
我々は社内の来島経験者を増やすことも重要視している。島の魅力を伝える手段として、実体験を話す以上のことはないからである。我々が子どもたちに直接会いに行けないぶん、島での体験を周囲に伝える先生が各地で増えれば増えるほど、島の魅力は広まっていく。それに、「遠くの親戚より近くの他人」のように、物理的な距離が人を疎遠にさせていく力は無視できない。無人島は、外に内に知ってもらう努力を常にし続けなければならないのだ。そんなわけで「開拓団」に加えて「社員開拓団」を始めることにした。
「無人島に行きたいけれど行けていない社員ランキング」というものがあったなら、長い間1位の座をめぐってしのぎを削っていたのが、「ばんちょう」こと川波と、「ライガー」こと新井であろうと思う。ばんちょうは、一見シャンゼリゼ通りで何度聞いても覚えられない犬種の犬を連れていそうなマダムだが、初めて花まるの野外体験に「サバイバル」をテーマにしたコースを作ったグレートな方である。ライガーは、そのコース「サバイバルキャンプ」を引き継ぐ現責任者で、山村留学や農業体験など自然学習の現場で広く活躍している。サバイバル好きという共通項を持つ2人だが、いままでずっと「無人島に行きたいのに行けていない」状態だったのは単純に多忙だったからである。しかし、ついにライガーの来島が決まった。ライガーだけ。熾烈な首位争いを制したのは、ばんちょうであった。グレート。
初夏。1泊2日という限られた日程であるにもかかわらず、サマースクールの準備のためライガーが埼玉から来てくれた。広島空港で合流し、そのまま島へ向かう。
花まる学習会 橋本一馬
【無人島レポート-2021初夏-】醤油メシ をはじめから読む
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花まる子ども冒険島
モノであふれた社会とはかけ離れた島、無人島。
今日を生き抜くために、頼りになるのは自分の心。
そこは、野外体験の究極の場となる。
強い『心』と自分の『目』を磨き、『自分の言葉』で語れる人に。
心と身体を強くする、花まる子ども冒険島が、いま始まる。
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