【無人島レポート-2022春-】特製マグカップ

【無人島レポート-2022春-】特製マグカップ

 5月になる頃には、母屋の片づけも一段落してきた。ようやく事務局としてまともに使える場所になってきたのである。上がるのをためらうほど汚れていた畳も、いまではゴロゴロすることだってできる。たまに来客があると当たり前に廊下を歩き、当たり前に部屋に入って家を出ていく。床の汚れを気にする様子はない。それを見て、私は掃除が完了したことを知る。

 ある種の仕事は、続けていくうちにその存在自体意識されなくなることがある。水や電気、通信などのインフラはいい例だ。スプーンのフォルムやドアノブの位置なども同様で、そうした仕事はあるレベルを超えると空気のような存在になって人の意識に上らなくなる。たぶん、洗練された快適さを消費し続けると人の知覚は自然に退化するのだろう。宇宙飛行士の筋力のように、使わないものは衰えていくのだ。もし何かの間違いで私の懐に一生働かなくてもいいほどの大金が転がり込んだとしても、私は仕事を続けるだろう(ウソだろ、と思う方からの大金をお待ちしています)。消費だけして生きていくのは楽だが、恐ろしい。でもそれを幸福だと考える人もいる。

 GWを過ぎると、サマースクールに向けての準備が本格的に始まった。島の開拓はもちろん、オンライン説明会の準備、バスや宿の手配、広島現地スタッフの採用計画、必要備品のリスト作成、壊れたテントの修理、YouTube動画の撮影、などなど。それに加えて、毎週の授業も行う。カトパンとベルはオンラインの教室を担当しているが、私は広島市内で開校した対面の教室を担当させてもらうことになった。初めてづくしの毎日が慌ただしく過ぎていく。

 準備物のなかに、今年から用意する特別なものがある。「無人島マグカップ」だ。話のはじまりは、高濱さんの誕生日プレゼントとして会社から贈られたマグカップである。そのマグには無人島の写真がどーんとプリントされていたのだが、そのマグを使うたびに「島のことを思い出すんだよな~」ということで、参加記念の品として同じものを子どもたちにも贈ろうということになった。せっかくだから、無人島の横に高濱さんの言葉を「親父の小言」みたいに載せてみたらどうだろう、と話が膨らんで高濱さんに12の言葉を書きおろしてもらった。

 ――10年後、社会人になったタカシはやっとその日の仕事を終えて誰もいない真っ暗な部屋に帰る。電気をつけるとテーブルにぽつんとあのマグがあって、それでココアなんか飲んでいるうちにふと高濱さんの言葉が目に入るようなシーンを想像しながら作った特製のマグカップは、無人島コース限定の参加記念品です。

 

無人島に来た人だけがもらえる特製マグ。高濱さんの言葉は、見てのお楽しみ。

 

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花まる子ども冒険島
モノであふれた社会とはかけ離れた島、無人島。
今日を生き抜くために、頼りになるのは自分の心。
そこは、野外体験の究極の場となる。
強い『心』と自分の『目』を磨き、『自分の言葉』で語れる人に。
心と身体を強くする、花まる子ども冒険島が、いま始まる。
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