【無人島レポート-2022春-】現地集合①

【無人島レポート-2022春-】現地集合①

 私が初めて一人で電車に乗ったのは、高校生のときだった。部活の試合のために遠出をすることになったからである。それまでは、自転車でどこへでも行けると信じていた。一人といっても、電車にはほかの何人かの部員と一緒に乗ったのだが、私は自分が高校生にもなって電車の乗り方がわからないことを知られたくなかったので、普段から乗っていますよ普通にねというフリをしながら横目をカッと見開いて、友人が券売機でどう切符を買うのかを凝視していた。しかし、結局乗り換えのタイミングで自動改札に捕まった。「あ……ありのままいま起こったことを話すぜ……オレは友達がやったのと同じように改札を出たと思ったらいつの間にか改札が閉じていた。何を言っているのかわからねーと思うが、オレも何をされたのかわからなかった。運賃不足とか磁気異常とかじゃねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……」 入場券だった。

 いまでは電車どころか飛行機にだって乗れる。関係ないけどインドで象に乗ったことだってある。でもそれは大人になったからじゃなく、初めて電車に乗った日の自分がいたからだと思う。 
 あの頃の自分が恥ずかしい、と思えるのは、いまの自分がそれだけ成長しているからだ。恥って案外大切なものだと思う。なんの話か。現地集合の話だ。

 2022年度から無人島コースを広島の現地集合にする、という思い切った決断をしたのはそうしたチャレンジのきっかけを作ろうとしたからである。かわいい子には旅をさせよ。けれどもそれはもう少し先。となかなか踏ん切りがつかない世のご家庭の背中を押すことになればいいな、というねらいだ。

 それでも、決断と不安は別のものだ。事前説明会では、現地集合の不安を解消することを第一の目的に据えた。こういうことにかけて、カトパンの右に出る者はいない。昔、買い忘れた1袋のスライスチーズのために、コース前日の深夜に隣町にある24時間営業のスーパーまで車を走らせたほど、細かいことを徹底する男である。カトパンは子どもたちが乗る予定の新幹線と同型の車両に乗る、という目的だけで新幹線で岡山まで行き、そのまま目当ての車両に乗り換えてただ帰って来るという行動に出た。ホームのどこに並んでどう乗るのか。座席の様子や避難経路、消火器の場所はどうなっているのか。それらをすべて画像に収めてスライドにまとめ、説明会で丁寧に説明したのである。子どもたちの、そしてお母さんやお父さんたちのチャレンジを支えたいというカトパンの想いだった。

 自分が新幹線に乗るイメージが湧いたのか、説明会の終盤では子どもたちもいくらか不安が和らいだ表情をしていた。むしろワクワクしている様子の子もいる。画面の向こう側ですでに挑戦は始まっていた。――そして当日、新幹線がやってきた。

 

現地集合をサポートするためのしおり。旅はもう始まっている。

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