【“職人”の無人島レポート③】買い出し、花まる丸(安芸津町内 スーパーマーケット)

【“職人”の無人島レポート③】買い出し、花まる丸(安芸津町内 スーパーマーケット)

開拓団受け入れに向けて、カトパンとともに無人島へ向かった”職人”こと、橋本。”職人”による無人島レポート第3弾です。

前回のレポートはこちら
【“職人”の無人島レポート②】開拓団、経験の調達(安芸津 お好み焼き屋にて)

朝からバタバタしていた。来島への船を出すのは11時だが、その前に必要な物資を買い揃えにホームセンターに行かなくてはならない。加藤さんことカトパン邸を出発するのは08:10の予定だったが、2人とも夜のうちに溜まっていたメールの返信を優先したため、結局出発は30分ほど押した。カトパンの黒いマツダに乗って、ホームセンターへと急ぐ。

広島に滞在していた間、私は幾度となくカトパンの車に乗せてもらったのだが、ある法則に気づいた。体感90%の高い確率で、カトパンは最初の分岐を逆に間違える。目的地が左手にある場合はまず右の道へ出るし、目的地が右手の場合はまず左へ出る。そのたびにUターンをするのがもはやルーティーンのようでもあり、すげえぜ、と思っているうちにホームセンターについた。

開拓に必要な道具はまだ不足している。耐火ブロック、脚立、ハンマー、ゴム手袋、草刈り機、チェーンソー、熊手、スコップ、などなど。量も多いし、中には価格の高いものがある。

「今までも見に来たんですけど、1人だと買いづらいんですよね」とカトパンが言った。経費とはいえ、いやむしろ経費だからこそ、数万円もする農機具を1人でどれにするか選んで購入を決めるのは、決意がいるのだ。私が買い物についていくというただそれだけのことでも、カトパンは背中を押されたのか、バンバンと機材を選んでレジへ持っていった。1人、慣れない広島で奮闘するカトパンの苦労を垣間見た気がした。

ホームセンターを出ると、その足で近くのスーパーへ食材の買い出しに向かう。「昼、夜、朝、昼」と島での食事の回数を指折り、各々が担当する回の食材を集めるため、店内で分かれた。私の担当は、その日の夕食である。アウトドアにおいては「シチュー」が最も優れた料理である、と聞いたことがある。ここで言うシチューとは「鍋料理」のことだ。どんな食材も切って入れるだけで簡単に作れるし、ビタミンの熱破壊などを除けば、栄養素が流失することがない。残しても、温め直すだけでおいしく食べられる。そんなわけで、私はメニューをチゲ鍋に決めた。それに焚火ステーキを添える。その時点で、カトパンと私の脳内は楽しいごはんの妄想で一杯になっていたが、そのせいで、とんでもない物がメモリーから押し出されていたことに気づいていなかった。忘れたものは、いつもそれが必要になってから気づく。

スーパーを出るころには、いよいよ出航の時間が迫っていた。一度、カトパン邸に戻り、買い込んだ物資の外箱などを残していく予定だったが、もうそのまま港へ直行しないと11時に間に合わないので、港へと向かう。

その道中、初めて聞いて驚いたのだが、今後自由に島へ渡るために、花まるは自前の船を購入していた。その名も「花まる丸」。中古ということだが、全体的にまだきれいで大人が10人、子どもは18人ほど乗れるらしい。そのうえさらに驚いたのは、カトパンがすでに船舶免許を取っているということだった。陸も海も(逆に)行ける男、カトパン。しかし、免許を取ったといってもまだ経験が浅い。地元の船乗りに「よくわからねえうちは、絶対一人でいくな。海をなめたらいけねえ」とたぶん菅原文太のような雰囲気で釘を刺されていることもあり、カトパンは忠実にその教えを守って、一人では船を出さないようにしていた。だから、しばらくは地元の船乗りに同船をお願いして島へ渡る。花まるが自前の船を持ちながら、出航時刻が決まっているのには、そういう経緯があった。今回の地元の協力者は、「岩樋(いわひ)」さんという方らしい。そんな話を聞いているうちに、いよいよ港が見えてきた。

(つづく)

第4弾はこちら
【“職人”の無人島レポート④】岩樋さん登場、来島上陸(安芸津港)

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