【花まるリビング54】『娘たちから学ぶ』勝谷里美 2026年2月

【花まるリビング54】『娘たちから学ぶ』勝谷里美 2026年2月

世代を超えて、異文化交流

 母と娘。高学年女子と向き合う日々での、最近の気づきです。
 きっかけは「前髪」。
 これまでには、前髪が伸びてくると(切りたい! でも美容室に行く時間がない。どうする? 分ける? とめる? うっとうしい!)というプチストレスがありました。
 一方、5年生の長女は、毎日前髪を微調整。割と頻繁に、ミリ単位で、自分で切っているようです。それを見ながら、「毎日切るかどうか考えるなんて、大変そう。よくやるなぁ」と思っていました。
 ある日、私自身の前髪が少しうっとうしくなってきたときに、ふと「娘を見習って、私も少しずつ切ってみようかな」と思い立ち、試したところ……これが思いのほか快適。確かにあわただしい朝にやることがひとつ増えるのですが、その一手間で、プチストレスがなくなったのです。ちょっと大げさですが、娘が家に持ち込んできた「文化」に助けられました。
 この歳になると、自分の習慣や価値観は固まってきてしまう。それをいい意味でも、悪い意味でも揺さぶってくるのが、世代の違う青い箱の(思春期に入ってきた)娘。
 コミュニケーションのなかで、価値観の違いがぶつかったときに、「自分が否定された」と受け取るのではなく、これは異文化交流かも? とおもしろがって観察する柔軟性をもとう、と思った出来事でした。


絵本の読み聞かせ、「より立派に」

 花まるの授業で大切にしていることのひとつに、「できることを、より立派に」という考え方があります。大人はつい、子どもが何かひとつできたら「はい、次は新しい課題」と与えてしまいがちです。しかし、正しい学習観を育むためには、ひとつできたことがあったらそれをより立派にするにはどうしたらいいだろう、 と自分で考えて動くことが大切です。
 それをまさに体現しているなぁ、と思ったのは年少の次女の絵本との触れ合い方。次女は、同じ絵本を何度も何度も読みたがります。毎日同じ本を持ってこられると、正直なところ「私はちがう本を読みたい」と思ってしまう。でも、次女は繰り返しが好き。その気持ちを尊重して読み続けていると、絵本とのかかわり方が自然とレベルアップしてきました。
 
たとえば――
①表紙の大きな文字のなかに、自分の名前と同じ文字があることに気づく。そこから、文字と音を1対1で対応させて、指で押さえながら、「この字は何?」と聞くようになった。
②好きな部分のセリフを覚えて、そこだけ自分で言いたがるようになった。
③気に入った文章を暗記しはじめる。「いちもくさんに」や「ようやく」など、日常会話の語彙が増えてきた。

 「繰り返し」を続けることで、親が何かさせようとすること以上の学びのほうへ、子ども自身が、自然に、楽しく、どんどん突き進んでいく。そんな姿がありました。
 子どもの自然な「より立派に」を邪魔しないこと。それもまた、幼児期の学びのなかで、親ができる大切なかかわり方のひとつです。

花まる学習会 勝谷里美


🌸著者|勝谷 里美

勝谷里美 花まる学習会の教室長を担当しながら、花まる学習会や公立小学校向けの教材開発や、書籍出版に携わる。現在は、3児の母として子育てに奮闘中。著書に『東大脳ドリルこくご伝える力編』『東大脳ドリルかんじ初級』『東大脳ドリルさんすう初級』(学研プラス)ほか

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