【おはなしのキッチン❻】『ぐりとぐらとすみれちゃん』田畑敦子 2022年11月

【おはなしのキッチン❻】『ぐりとぐらとすみれちゃん』田畑敦子 2022年11月

 「ぐりとぐら」といえば、大きな卵で作るカステラが有名ですよね。ふわふわでまんまるな黄色いカステラにも憧れますが、今回は秋にぴったりのかぼちゃ料理をテーマにしました。

 ぼくらの なまえは ぐりと ぐら
 このよで いちばん すきなのは
 おりょうりすること たべること
 ぐり ぐら ぐり ぐら
(なかがわりえこ作・やまわきゆりこ絵『ぐりとぐらとすみれちゃん』福音館書店)

という歌がとても印象的な「ぐりとぐら」の絵本には、カステラ以外にもたくさんのおいしそうな食べ物が登場します。
 ちなみに、お話を書いている中川李枝子さんは、スタジオジブリ映画『となりのトトロ』のオープニングで歌われている「さんぽ」の作詞もされています。かわいい登場人物や魅力的な食べ物だけでなく、こうしたリズミカルな言い回しも、「ぐりとぐら」シリーズの魅力のひとつです。

 『ぐりとぐらとすみれちゃん』には、「ぐりとぐら」シリーズで初めて、すみれちゃんという人間の女の子が登場します。実は、すみれちゃんにはモデルがいます。脳腫瘍によりわずか4歳でその生涯をとじてしまったすみれちゃん。「ぐりとぐら」のお話を本当に楽しんでいたすみれちゃんのお母さんから中川李枝子さんにお礼のお手紙が届き、2人の間で文通が始まり、生まれたのがこの絵本なのだそうです。
 かぼちゃや畑のお手伝いが好きだったというすみれちゃんは、絵本の中でも、ぐりとぐらに大きくて立派なかぼちゃをお土産に持ってきます。そのかぼちゃの割り方がとっても豪快なのです。読んでいると、思わずくすっと笑ってしまいます。そして集まってきた森の動物たちと、かぼちゃ料理を作り始めます。
できあがったのは、たくさんのごちそう。

 かぼちゃの ぺちゃぺちゃに、ぺたぺたやき、
 かぼちゃプリン、かりんとう、
 かぼちゃコロッケ、かぼちゃドーナツ、
 むしパン、かぼちゃせんべい

 こんなにたくさんの料理が、たったひとつのかぼちゃから作れるなんて、と子どもたちはわくわくしながら読むことでしょう。
 かぼちゃは、おかずにもおやつにもなる万能な食材ですね。ぜひ、ぐりとぐらのように歌って楽しみながら、旬のかぼちゃを使った料理を楽しんでみていただければと思います。

 

花まる学習会  田畑敦子

 

『ぐりとぐらと
  すみれちゃん』
なかがわ りえこ 作
 やまわき ゆりこ 絵 (福音館書店)

 

【レシピ】 かぼちゃのぺたぺた焼き

かぼちゃ1/4個
塩ひとつまみ
小麦粉大さじ2
A.
水大さじ1
きび砂糖小さじ2
醤油小さじ1

①かぼちゃはわたと種を取り除き、ひと口サイズにカットして皮をむく。鍋に入れて水を1センチほど注ぎ、塩ひとつまみを振って蓋をし、火にかける。沸騰したら弱火にして柔らかくなるまで約10分蒸し煮にする。
②①をマッシュして小麦粉を加えしっかりと混ぜる。6~8等分にして丸め、平らにつぶして形を整える。
③フライパンを温め、植物油をうすくぬる。②の両面に軽く焼き色がつくまで焼く。
④Aを混ぜ合わせ、フライパンに回し入れて全体に絡める。

【レシピ】かぼちゃのぺちゃぺちゃ

かぼちゃ1/4個
塩ひとつまみ
はちみつ、好みのナッツ 適量

①の行程は同じ。
②マッシュしたかぼちゃを器に盛り付け、はちみつ、好みのナッツを刻んでトッピングする。

 

【レシピ・写真提供】
料理家 江口 恵子(natural food cooking)

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