一年中お店に並んでいるきのこ類。いつも見ているものは、工場で菌床栽培されているものがほとんどなので、季節を問わず安定した価格と質でおいしいきのこを味わうことができています。
唯一といってもいいのが松茸(他にもありますが)。松茸は栽培が難しく、秋になって山で生えてくるのを待つしかないんですね。お値段が格段に違うのも納得です。
さて、季節をあまり感じることができないかもしれませんが、きのこの旬は秋。いつも食べているものですが、いまの時期は、改めて「秋の味覚だな」と味わってもらえたらと思います。
秋から冬にかけて空気が乾燥してきますが、薬膳的な考えだと、きのこは肺を潤す効果があるとされていますので、やっぱり旬の素材には大きな意味があるんですよね。
そんなきのこですが、実は、子どもの嫌いな野菜ランキングの上位に必ず入ってくるものの1つです。それを知ってから私は、きのこが苦手だという子に会うとインタビューをしています。「なぜ、どんなところが苦手なのか」と。
その結果、味というよりも「食感」が苦手ということがわかってきました。「にゅるっ」とした舌触りがだめだという子が多いのです。あとは香りも苦手だったりして、以外と「味がいや」という声は少ないかもしれません。
子どもの好き嫌いに関して、私はあまり神経質にならなくてもいいと思っています。ある日、突然食べだすこともあるし、その日の気分で食べたり食べなかったりもするので、「うちの子は○○が嫌いなので」と決めずに「○○を食べない日がたまたま3年、5年、10年続いているのね〜」くらい肩の力をぬいて大丈夫。でも、食べないからといって、食卓に並べないのはNGです。
うちの子もそうでしたが、本当に、なにをきかっけに食べだすかわからないので、何食わぬ顔で、淡々と食卓に出し続ける。「食べなさい」も言わないで、大人やほかのきょうだいが普通に淡々と、おいしいね、と食べ続ける。
そのうち、うっかり食べる日がくるかもしれませんし、大人になるまで苦手なままかもしれませんが、それはそれとして、苦手な食べ物が1つや2つくらいあってもいいと思います。野菜を一切食べない、おやつしか食べない、というのはちょっと考えものですが、そういう場合は、1つでもなにか食べられるようになるのをファーストステップとして、焦らずにゆっくりと克服していくといいと思いますよ。
★食のプロからのアドバイス★
きのこは1種類で食べるより、数種類を組み合わせて食べるのがおいしく食べる秘訣です。2〜3種類のきのこを手でほぐし、アルミホイルで包んでホイル焼きにするのが簡単でとてもシンプルですが、素材を存分に味わえる食べ方です。
きのこが苦手な子には、細かく刻んで、ドライカレーやミートソース、ジャージャー麺の肉味噌に入れてみてください。しっかりした味付けとみじん切り効果で、にゅるっとした食感もなくなります。おまけに、きのこの旨味効果で味がぐんと良くなるので、おいしさ倍増ですよ。
フードスタイリスト・料理家。心も体も健やかな気持ちのいい暮らしは、日々のごはんからはじまる。そんな想いから、おいしさと作りやすさを追求したレシピで料理教室のレッスンを行っている。雑誌やWEB、広告でのレシピ提案やスタイリング、企業やメーカーのレシピ開発などにも携わる。著書に『作って伝える郷土ほっこりおやつ』(赤ちゃんとママ社)『子どもと一緒に季節の食しごと』(マイナビ出版)ほか。