11月霜月|土の香りがする野菜を楽しむ

11月霜月|土の香りがする野菜を楽しむ

 残暑が長く続いた今年の秋ですが、すっかり気温も下がり冬に向けて着々と季節は進んでいます。「体を中から温めるから、冬が旬の根菜を食べるといい」と、みなさん何となく意識していると思いますが、そのなかでも滋味深く、パワーのある根菜の1つ、ごぼうに今回はスポットを当ててみましょう。

 調理が面倒に感じたり、メニューもワンパターンになったりしがちなごぼう。そして、とっても地味なビジュアルであるがゆえに、メインディッシュにはなかなかなれない野菜だったりしますよね。
 でも、いぶし銀のごとく、存在感のある名脇役としていい仕事をしてくれます。歯ごたえだったり、香りだったり、ごぼうならではのおいしさがあるのです。

 ごぼうは酢水にさらしてアクをぬく、というのが料理の基本と教わった人も多いはず。ですが、最近のごぼうはそこまでアクが強くないので、水にさらすと味も香りも半減し、料理になったときには、香りもうま味も激減するので、私は食物繊維のみを食べているような感覚になることがあります。水にさらさないと色は悪くなるのですが、ごぼうを使った料理って茶色いことの方が多いので、彩りはあまり気にしなくてよいでしょう。それよりも、根菜ならではの香りと、加熱することで出るごぼうの甘味や奥行きのある味わいを楽しむことの方が大切だと思います。

 ごぼうは、たわしなどで土を洗い落としたら、手早く切って手早く調理すれば大丈夫。そう聞くと少しハードルが下がりませんか?調理中の土の香りも存分に楽しみながら、ごぼう料理にトライしてみてくださいね。

★食のプロからのアドバイス★

おうちでチャレンジ!
ごぼうの竜田揚げ

ごぼう
麺つゆ又はだし醤油
片栗粉

①ごぼうは、たわしか丸めたアルミホイルで軽くこすって土をきれいに洗い落とす。
②洗ったごぼうを厚さ3mm程度に斜めにスライスし、ひたひたの麺つゆかだし醤油に1時間以上漬ける(冷蔵庫に入れれば1~2日置けます)。
③水気を軽く切り、片栗粉をまぶして、180度の油でこんがりと揚げる。
④仕上げに塩少々を振る。


著者|江口 恵子

江口 恵子 フードスタイリスト・料理家。心も体も健やかな気持ちのいい暮らしは、日々のごはんからはじまる。そんな想いから、おいしさと作りやすさを追求したレシピで料理教室のレッスンを行っている。雑誌やWEB、広告でのレシピ提案やスタイリング、企業やメーカーのレシピ開発などにも携わる。著書に『作って伝える郷土ほっこりおやつ』(赤ちゃんとママ社)『子どもと一緒に季節の食しごと』(マイナビ出版)ほか。

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