【花まるリビング②】『自分のむき出しの感情に、敏感になる』勝谷里美 2021年5月

【花まるリビング②】『自分のむき出しの感情に、敏感になる』勝谷里美 2021年5月

 子育てを始めてみて、「自分ってこんなに感情的な人間だったのか…!」とびっくりすることが多々あります。特に“怒り”の部分です。カッとなって、相手を責めるような言葉が止まらなくなったり、教室の生徒ならば「かわいいなぁ」と思う言動でも、わが子が相手だといちいちカチンときたり。家族で長時間一緒に過ごしているからこそ、クールダウンの時間がとれずにずっと怒りがくすぶっていたり…。親が子どもを育てるとは言いつつも、親側がこれまでの生き方を試されているよなぁ、と遠い目になることもしばしばあります。

 私が小学生のころ、毎年夏休みに、子どもキャンプに参加していました。親は同伴せず、引率は大学生や社会人のキャンプ経験者が中心のサークルでした。4年生のとき、朝ごはん用に飯盒で炊いたお米が黒焦げになってしまい、もう一度最初からやり直しになりました。「小学生は待っていてね~」と言われ、坂の上の方で座り込みながら、坂の下にあるかまどで中高生が試行錯誤している様子を見ていましたが、10時を過ぎてもご飯はまだ炊きあがらない。
「あー、おなかと背中がくっつくって、こういうことかぁ」「ひもじい」「でも自分は、何もできない…」
 この時に感じた、「ひもじさ」「不便さ」「無力感」は、むき出しの感情だったなぁ、と、今でも鮮烈に思い返します。「おなかがすいたときにご飯が食べられるということは当たり前ではない…!」という心からの理解だったのでしょう。

 ある日、自分がカッとなって、子どもに怒り狂っているとき、ふと、このキャンプの思い出が頭をよぎりました。「ん?なぜ、このタイミングで?」と、あとから振り返ると、「自分の中のむき出しの感情」という共通点に気づきました。そうそう、あのときは、本当に、取り繕うことができないぐらい心から「ひもじかったなぁ」(いま思うと大袈裟ですが…)。この「子どもへの怒り」も、心の奥底にある、自分ではどうしようもできない原始的な感情である点がちょっと似ているなぁ、と、自分の心を俯瞰してみることができた瞬間でした。
 それ以来、「自分の感情を俯瞰してみて、心の動きを大切にしよう」ということを意識しています。

 大人が楽しんでいると子どもも楽しんでのってくるし、大人が落ち込んでいると子どももそれを敏感に察知するな、というのは、花まるの授業をしながらも感じていたことでした。家の中でも自分の心の動きに敏感になってみると、やっぱり自分が楽しいときは子どももニコニコしているし、自分が不機嫌なときは子どももそれを感じている、姉から弟へのあたりが強くなっているな、などという発見もあります。

 「24時間、自分がご機嫌でいることは無理だ!」というのは、親になってみての実感です。だからこそ、自分の心の動きに正直に。今日はちょっとくさくさモードだから、子どもにもあたりがきつくなるかもしれない。だったら、最初から、少し自分に対しても家族に対しても求めるハードルを下げておこう。今日は充電ばっちりだから、楽しんでいろいろ挑戦できそうだ、など、心構えをしながら、日々過ごしていけたらいいな、と思っています。

 キャンプの思い出から、ご紹介したい本を2冊。

 『はじめてのキャンプ』は、私自身が子どもの頃から大好きで、「花まるのサマースクールに行かせる前には、絶対に親子で読もう!」と決めていた本です。ごはん作りにキャンプファイヤー、テント泊…キャンプのドキドキわくわくがぎっしりつまっています。
 小学校高学年のときに読んだのが『猿島の七日間』でした。11歳の男の子が無人島に取り残されるという展開が衝撃的で、忘れられない一冊です。サバイバルに特別興味があったわけではないのですが、「生きることは簡単ではない」「生き延びていくために何をすべきなのか」そういった、根源的な問いかけの部分で、子どもの自分をずっしりと揺さぶってくれた本だったな、と大人になって読み返してみて感じました。

花まる学習会 勝谷里美


著者|勝谷 里美 勝谷里美 花まる学習会の教室長を担当しながら、花まる学習会や公立小学校向けの教材開発や、書籍出版に携わる。現在は、2児の母として子育てに奮闘中。著書に『東大脳ドリルこくご伝える力編』『東大脳ドリルかんじ初級』『東大脳ドリルさんすう初級』(学研プラス)ほか

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