【花まるリビング㊹】『言葉の持つ力に感謝する』勝谷里美 2025年3月

【花まるリビング㊹】『言葉の持つ力に感謝する』勝谷里美 2025年3月

 3歳の次女が、ついに有名な某魔法少女アニメにハマりはじめました。お姉ちゃんも見ていたなぁと懐かしさを感じたり、意外にも8歳の長男まで一緒に楽しんでいる姿を微笑ましく思ったりしています。
 このアニメには、黒い卵から生まれる「ガルガル」という敵が登場します。動物たちが変化した姿であり、主人公は彼らをもとのかわいらしい姿に戻すために戦います。
――と、ここまで読んで「何の話?」と思われたかもしれません。
 実は、この「ガルガル」という言葉が、わが家(というか、主に私)の“お助けワード”になっているのです。
 ある日、イヤイヤ期真っ只中の次女がかんしゃくを起こし、こちらまでイライラしそうになったときのこと。長男がふと「あー、Rちゃん、ガルガルしてるよ!」と一言。「たしかに、これはまさにガルガルだー!!」と私もつい笑ってしまい、そのおかげで気持ちが落ち着き、冷静に次女に接することができました。
 それ以来、小4の長女が反抗的な態度をとったときでも「あーはいはい、いまガルガル化だね」と少し気持ちに余裕を持って受け流せるようになりました。
 “イヤイヤ期”や“反抗期”とわかってはいても、親だってイライラしてしまうもの。そんなとき、ふっと遊び心のあるキーワードを挟むだけで、気持ちを切り替えられることもあるのだな、と感じています。

 最近、体力がついてきた次女はなかなか寝ません。布団に入って電気を消しても、一時間ほどウロウロ歩きまわり、人形で遊び、牛乳を飲む……を繰り返します。

「早く寝てー!」とイライラもするのですが、この時間を「次女、スーパーフィーバータイム」と名づけてみました。すると、まぁまぁこちらも楽しくなり、次女を温かなまなざしで見守れるようになったのです。

 「言葉」は、私たちの目にフィルターをかけます。
「早く寝てほしいのに寝てくれない子」として見るか、「一日の最後の力を振り絞って覚醒し、全力で遊んでいる子」として見るか。
 たったそれだけの違いで、親の心の持ちようも大きく変わるものなのだ、と改めて気づかされました。「言葉の持つ力」の大きさに、改めて感謝する日々です。

 一年間、コラムを連載させていただきました。
今年度は言葉に関するテーマが多く、 
  4月【子育てにおける「あそぶ力」】
  6月【ケンカトリガーの言語化】
  9月【「好き」を観察し、「好き」から攻略する】 など、改めて読み返すと、実践しようと思いながら忘れていることや、月日が経ってさらに深く考えられそうなこともあり、振り返る大切さを実感しています。
 一年は本当にあっという間で、子育てをしているとめまぐるしい日常の変化についていくのがやっと、という感覚はありますが、振り返ることも忘れずに。
 月に一回、このコラムでお届けしているメッセージが、子育て中のみなさまの振り返りに、少しでもお役に立てていたら嬉しく思っています。
 2024年度も、本当にありがとうございました!

花まる学習会 勝谷里美


🌸著者|勝谷 里美

勝谷里美 花まる学習会の教室長を担当しながら、花まる学習会や公立小学校向けの教材開発や、書籍出版に携わる。現在は、3児の母として子育てに奮闘中。著書に『東大脳ドリルこくご伝える力編』『東大脳ドリルかんじ初級』『東大脳ドリルさんすう初級』(学研プラス)ほか

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