【花まるリビング㊼】『親の“本気遊び”×きょうだいげんか』『耳栓』勝谷里美 2025年6月

【花まるリビング㊼】『親の“本気遊び”×きょうだいげんか』『耳栓』勝谷里美 2025年6月

「親の“本気遊び”×きょうだいげんか」

 先日、花まる学習会の年中・年長コース授業の研修で「指導者も子どもと同じ目線で本気で楽しむ姿勢が大切」という話が出ました。そのとき、ふと「これ、きょうだいげんかにも応用できるかも!」と思いました。

 最近わが家では、年少で末っ子の次女と小三長男のぶつかり合いが絶えません。「使いたいおもちゃを貸してくれない」 「作ったものを壊された」など、原因は些細なことばかり。
これまでは、
①もめごとはこやし――見守る(仲直りは促す)
②空間を分けて、それぞれが安心して遊べるようにする
といった対応をしてきましたが、今回、新たな選択肢として、「親がその場に入り、本気で遊ぶ姿を見せる」ことをやってみたのです。「楽しさ」や「おもしろさ」が場に投入されれば、自然と子どもたちの気持ちはそちらに向かうのでは? と思ったからです。
 結果は……見事に大成功!
 幼児期の子どもの性質「忘れっぽい」こともあり、自分たちがなぜもめていたかなんてすぐに忘れて、大人の“本気の遊び”にぐいぐい引き込まれていきました。
 親にエネルギーの余裕があるとき限定ではありますが、「親が一緒になって本気で遊ぶ」というのは、思いのほか効果的なきょうだいげんか対応でした。


「耳栓」

 長男は、夕食後(というか寝る直前)にリビングで宿題を始めます。当然、妹の遊ぶ声が気になり、「うるさーい! 静かにして!」と怒鳴る。それに対し、私は「リビングはみんなの場所なんだから仕方ない。気になるなら、妹が保育園から帰ってくる前にやればよかったのに」と注意する。結局、長男はいじけながら宿題をする……という負のループが続いていました。
 「なんとかしたいなぁ」と考えていたとき、ふと「耳栓」を思いつきました。飛行機用としての購入を検討していたのですが、「宿題のときに使ってもいいかも?」と試してみたところ、大正解! 妹の声が気にならなくなり、集中できるようになりました。

 (割とシンプルな解決策を、どうしてもっと早く思いつかなかったのか)と悔しくなったのですが、その理由を深掘りしてみると、「相手の変化を期待しすぎて、自分の視野を狭めていたかも」ということに気づきました。私は「長男がもっと早く宿題に取りかかればこの問題は解決する」と決めつけ、ほかの選択肢を考えようとしていなかったのかもしれません。
 人を変えようとするのではなく、もっとフラットに問題を分析したうえで、こちらが創意工夫することが大切だな、ないものねだりをすると選択肢が狭まるな――そんな気づきを得たできごとでした。

花まる学習会 勝谷里美


🌸著者|勝谷 里美

勝谷里美 花まる学習会の教室長を担当しながら、花まる学習会や公立小学校向けの教材開発や、書籍出版に携わる。現在は、3児の母として子育てに奮闘中。著書に『東大脳ドリルこくご伝える力編』『東大脳ドリルかんじ初級』『東大脳ドリルさんすう初級』(学研プラス)ほか

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