【花まるリビング㊺】『心地よいベターな選択の掛け合わせを、わが家のベストだと決める!』勝谷里美 2025年4月

【花まるリビング㊺】『心地よいベターな選択の掛け合わせを、わが家のベストだと決める!』勝谷里美 2025年4月

 このコラムも、気づけば五年目。年中だった長男も、いまでは三年生。月日の流れを感じます。
 長男Aは、年長の頃から「花まるオンライン」を受講しています。最初は、画面に顔を出せなかったり、少し映ったと思ったら離席したりの繰り返し。正直、「オンラインは向いていないのかも」と心配していました。それがいまではムラがありながらも90分授業を最後まで受講している姿に、「成長するものだなぁ」と感慨深くなります。

 そんなAの年長コース時代の、印象的なエピソードが「ふとん」。
 Aは、授業中、椅子の後ろにふとんを敷き詰めていました。集中が切れると、すぐふとんにもぐってしまう。花まるの教室長目線では、集中できる環境を整えたい。実際、担当の教室長からも「ふとんがないほうが集中できそうですね」とアドバイスをもらいました。
 でも親としては、正直「ふとんがあれば授業を受けられるなら、置いておきたい」。なぜなら、ふとんを取り上げて授業に向かわせるのが大変だし、0歳の下の子の相手をしながらそこまで頑張る気力がなかった、というのが本音です。

 こういう「“こうしたほうがいい”正論はわかっている。でも、そんなにうまくはいかない!」という場面、子育てにはよくありませんか?
 その「でも」が「できていない自分への言い訳」に思えて、罪悪感を抱いてしまう親御さんが多い気がします(実際、私もそう感じることもあります)。
 ただ、十年子育てをしてきて思うのは、「世のなか一般のベストな育児論」を正解にするのではなく、親や家庭にとっての「心地よいベターな選択」を掛け合わせていくことが大事ではないか、ということ。それを積み重ねたものが、きっと「わが家のベスト」になる。
 マニュアル通りにいかなくても大丈夫。うまくいかない「でも」が出てきたときは、わが家にとってよりよい選択肢を探そうとしているとき。そうとらえ方を変えてみるのはどうでしょう。

 「ふとん」の話に戻ると、当時の私は「授業が受けられなくても、本人の安心を優先しよう(母の心地よいほうをとろう!)。いつか離れるときを“待つ”」と決め、担当の教室長も温かく見守ってくれました。
 結果、三年近くかかりましたが、いまは本人なりに成長しています。(心が折れると、いまだにふとんにもぐることもありますが……!)
 花まるの教室長だって、マニュアル通りにいかない子育てばかり。だからこそ、そんな日々をおもしろがりながら過ごしたい。そして、保護者のみなさんの心の余裕に少しでもお役に立てたら。これからも、花まるが大切にしている子育ての軸はぶらさずに、日々の子育てのヒントになるエピソードをお届けしていきます。

花まる学習会 勝谷里美


🌸著者|勝谷 里美

勝谷里美 花まる学習会の教室長を担当しながら、花まる学習会や公立小学校向けの教材開発や、書籍出版に携わる。現在は、3児の母として子育てに奮闘中。著書に『東大脳ドリルこくご伝える力編』『東大脳ドリルかんじ初級』『東大脳ドリルさんすう初級』(学研プラス)ほか

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