教育哲学

花まる教室長コラム 『たまごやきは人生の味』田中涼子 2020年11月

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 子どもたちに、好きなお弁当のおかずランキングをたずねてみたことがあります。そのときのランキングは、「1位からあげ、2位たまごやき、3位うらないグラタン(冷凍食品)」でした。私もお弁当に入っていると、割とテンションがあがるおかずだったなぁと、今も昔も変わらない嬉しさを感じたものです。その中で、子どもたちの物議を醸したのは、2位のたまごやきでした。

 たまごやきの味は、家庭によって異なります。甘い味の家庭もあれば、しょっぱい味の家庭、中に具材が入っている家庭など、様々です。しかし、いずれも家族にとっては「これが、たまごやき」の味。なくてはならない存在なのです。

 1年生のAちゃんが好きな食べ物は、お母さんが作るたまごやきでした。そんな彼女が、不思議なことを言うのです。
「昨日食べたたまごやきはね、カステラみたいにあまーいの。でもね、今日の朝ごはんのたまごやきは、すーごくしょっぱかったの。先生、なんでだと思う?」
「お母さんが、砂糖と塩を間違えたから?」
「ブッブー!お母さんはいつも甘いたまごやきしか作らないもん。」
「正解はね…昨日はお父さんが仕事に行く前に一緒に遊んでくれたんだよ。今日は、お母さんに、宿題やらなくてすごく怒られたの。」
その説明ではわかりにくかったのでよくよく聞いてみると、つまりは、叱られた後に朝食をとったということで、涙の跡がたまごやきを塩味に変えていたということでした。

 たとえ好きな食べ物を口にしていたとしても、そのときの気持ちや状態によって、味は変わることがある。嬉しいときには、際立って美味しいですし、落ち込んでいるときは、好きなものでさえも味がわからなくなるときがあるものです。
「たまごやき」の中には、言えない気持ちもたくさん詰まっているのです。甘いとき、しょっぱいとき、大好きな「たまごやき」を食べていても、また泣いたり喜んだり。まるで人生のようです。ずっと甘い「たまごやき」であってほしいけれど、しょっぱいときもないと、人は成長しません。甘くて、しょっぱくて、それの繰り返しだからこそ、強く、たくましく生きる力をつけられる。だから人生はいいものなのだと私は思います。
 
 子どもたちがこれから歩んでいく人生は、甘くてしょっぱい「たまごやき」。どんな経験もどんな想いも、子どもたちにとってなくてはならないものに必ずなります。無駄なことは一つもありません。だから私は、子どもたち一人ひとりの人生が、これからも輝かしいものであることを願っています。

花まる学習会 田中涼子


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

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