【花まるコラム】『「挑戦」がスタートライン』舘岡聡美

【花まるコラム】『「挑戦」がスタートライン』舘岡聡美

 起きると、音が一切ない静かなリビングで、コーヒーを飲みながら新聞を読んでいる母がいる。

 幼い頃の記憶です。時間が止まったようなあのひとときだけが、母がほっと一息をつける時間だったのだろうな、と大人になったいまなら思います。私がリビングの扉を開けるとニコッと迎えてくれた母に感謝の思いが募ります。保護者のみなさんの朝は何から始まりますか?

 大人になった私のルーティンは、音声メディアで情報を仕入れることから始まります。名だたる起業家から、子育て中の方などザッピングをし、いろいろな考え方に触れるようにしています。

 4月初旬、さまざまなパーソナリティが「新しい世界に飛び込む人へ」と新社会人、新入生に向けてメッセージを送っていました。そのなかで、あるトピックに耳を奪われました。「こんな社会人はダメだ」というものです。耳触りのよいメッセージがあふれるなかで言い切る潔さに興味をそそられました。内容は「ミスを嘘で隠してしまう人」「怒られたときにシュンとしてしまう人」でした。2つ目を聞いたとき、私も過去の失敗で心当たりがあるので、ドキッとしました。 

「ミスを嘘で隠してしまう」
 人間は万能ではありません。体調が悪い日だったり考えごとをしていたりして失敗をすることがありますよね。人間は心と体がつながっているのだから、 仕方がないこともあります。失敗は潔く認めれば良いのです。しかし、自分に嘘をつくこと、そしてその嘘が1回まかり通ってしまうと、嘘は重ねられやすくなります。発見が遅れ、それが人に、自分に影響し、信用を失ってしまう。宿題、漢字練習など、子どもでも同じ状況に置かれることがあります。「先生はいつも笑顔」と子どもがよく言ってくれますが、このときばかりは変わろうと決めています。子どもたちの未来を思えば、意を決して伝えたほうが良い、と思っています。

「怒られたときにシュンとしてしまう」
 上記のように、人間はエラーを起こしてしまう生き物です。しかし、その事実は受け止め、素直に「ごめんなさい!」と謝罪をし、すぐに改善する、「こうしてみました!不便があれば、ぜひ教えてください!」と前を向き、挑戦をしつづけることのほうが大事。本当にそうだな、そっちのほうが気持ちいいよな、応援したくなるな、花まるだからこそつけられるのはこの力だよな!と、パーソナリティの言葉に背中を押されました。 

 小学生にもなると、「恐れ」を感じている子に出会うことがあります。「人にどんなふうに思われるか怖い」「間違ってしまうかも」「やったことがないから怖い」など、繊細な心を持っているからこそ、こうしたちょっと湧き出る思いを増幅させるのだと思います。しかし、子ども時代の事柄は案外、「エイッ!」と勇気を振り絞ってやってみると、拍子抜けするくらい簡単に乗り越えられることのほうがずっと多いのです。少しの勇気をもってやってみると、世界が変わります。言い換えれば、繊細な心をもっている子は、最初の一歩を踏み出すときだけ背中を押してあげると、前進し、大きく成長を遂げることがあります。

 いまでは一人で海外旅行も平気な私ですが、最初は恐怖心でいっぱいでした。「騙されちゃったら?」「銃で撃たれるかも?」と起こる可能性が低い妄想をし、自分の心をブロックしていました。しかし、当時大好きだった彼が留学をし、会いに行く、という動機に背中を押されて飛び込んだ一人旅。旅の途中で友ができ、異文化ゆえに起きるハプニングに爆笑し、学びとなり「おもしろいな!」と心変わりしました。挑戦しなかった時間がもったいなかったとすら、いまは思います。 

 クラウドファンディング、プログラミンやNFT等を巧みに使い、学生起業家が生まれる時代。二足・三足の草鞋が当たり前になってきた時代。「やりたい!」と思ったことは叶えられる、最高におもしろい時代に私たちは生きているのです。 

 子どもたちは日々、教室で挑戦し続けています。抱くその夢に、そのときが来たら挑めるよう、培った力が発揮できるよう、日々の挑戦を支えていきます。そのため、「結果」だけにこだわらず、その過程を認めていきます。挑戦は心を使います。膨らんだ風船がしぼんでいくようになることさえあります。おうちに帰ったときには、大好きなおうちの方の「今日も頑張ったね」という言葉で子どもたちの心の風船は大きくまた膨らむのです。お子さんの顔を見つめて伝えてみてください。

花まる学習会 舘岡聡美(2022年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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