【花まるリビング52】『“想像をふくらませるタネ”を投入』勝谷里美 2025年12月

【花まるリビング52】『“想像をふくらませるタネ”を投入』勝谷里美 2025年12月

 先月号では高学年対応について思うところを書きましたが、今月は「年少女子」対応のお話です。
 小5の長女が、幼少期から戦ってきた問題――「家事が忙しい夕方~夜の時間帯に『ママ~、いっしょにあそぼ!』と誘ってくる幼児にどう対応するか」。同じ年頃の子どもをもつ知人と話すと「わかる~! あの時間がいちばん大変」としみじみ共感し合うトピックです。
 朝の時間とは違う大変さとしては、夜は「この家事をあと回しにしたら、子どもと遊んであげられなくはないけれど、そのツケは自分に回ってくる」「だから、私は“いま”家事をしたい」「でも、子どもは遊んでとせがんでくる……」という逡巡が発生するところ。(朝はきっと、迷っている暇すらないですよね。)
 絶対的な解決策は見つからないまま、気づけば長女は遊んでとせがまない年齢になりましたが、いまも年少の次女が、時には小3長男も「あそぼ!」と誘ってきます。
 先日は、次女が「ごっこ遊び」をしたい、と誘ってきました。たくさん持っているくまのぬいぐるみに、自分の靴下を片方だけはかせて「マーメイドくまさんたち」を作りだした彼女。「ママ、この子たちの、お世話して?」と頼んできたのです。私は、ちょうど食器を片付けはじめたところ。この家事だけは終わらせたい……。
 いつもならここで、「ちょっと待っててね」と言うのですが、その日はふと、花まるの授業での声かけをイメージして、「受け入れる」⇒「投げかける」というSTEPをふんでみることにしました。

 STEP1 まずは、いったん受け入れる。なぜ、そう思ったのかを言語化してあげる。「わかった。マーメイドくまさん、たくさんいるから、お世話をするの大変だよね」(受容・共感)
 STEP2 投げかける。「(いまひらめいたかのように)あ、そうだ! この子たち、お世話するときに注意したほうがいいことある? たとえば、ずっとお水に入っていないと元気がなくなっちゃう、とか?」(新しく“想像をふくらませるタネ”を投入)

 すると、その投げかけがピタッとはまり、次女の想像の幅が広がっていったようです。
「えっと、そうだよ。お水がないといけないから、お水を準備するね。でも熱いタオルはさわっちゃダメだよ……」などとぶつぶつ言いながら、自分のおままごとキッチンのほうに去って行き、そのまま10分ぐらい自分の世界に没頭してひとりで遊んでくれました。(そして私は、そのすきに食器洗いタスクを完遂!)

 これは「ごっこ遊びに誘われたとき」に、特に使いやすい技ではあります。わが家ではいまのところ、勝率は6割程度。子どもの想像力が爆発しすぎて、逆にもっと強く“いっしょにあそぼ!!”と誘われることもあります。
 ただ、どちらの結果になったとしても、子どもの世界に“想像をふくらませるタネを投げ入れる”――想像力の幅を広げる声かけの視点としては、とても有効だと感じます。
 子どもの見ている世界を一緒に眺める立ち位置になることで、自分の頭をぐるぐる働かせる必要も出てきます。ただ「ちょっと待っててね」というより、自分(親)も少し楽しくなってくるはず。そして子どもも、「大好きなお父さん・お母さんが、いったんでも“自分と同じ世界を見てくれた”」というところに満足感を得るのかもしれません。
 幼児期ならではのかけあいのおもしろさで子育てのいまを楽しむ、小さなヒントになれば嬉しいです。

花まる学習会 勝谷里美


🌸著者|勝谷 里美

勝谷里美 花まる学習会の教室長を担当しながら、花まる学習会や公立小学校向けの教材開発や、書籍出版に携わる。現在は、3児の母として子育てに奮闘中。著書に『東大脳ドリルこくご伝える力編』『東大脳ドリルかんじ初級』『東大脳ドリルさんすう初級』(学研プラス)ほか

花まる教室長の子育て奮闘記カテゴリの最新記事