【花まるコラム】『あきらめなかったりんご』筒井佳菜

【花まるコラム】『あきらめなかったりんご』筒井佳菜

 最近、人生で初めてジグソーパズルを購入しました。光の巨人が主人公の空想特撮映画のグッズです。初めて体験する500ピースのジグソーパズル。映画のロゴや巨人のイラストの部分は順調に進めることができました。しかし、背景に取り掛かってからやる気が一気になくなってしまいました。背景の色が黒一色だったのです。1つ1つのピースの形のみを頼りに完成させることを想像して、途方に暮れてしまいました。

 花まる学習会で扱う教具に、キューブキューブという立体パズルがあります。キューブキューブが大好きなAくんはその日に取り組む教材を終えたあと、いつも特別問題に兆戦しています。

 ある日、Aくんが挑戦していたお題は「りんご」でした。A~G、1、2のすべてのキューブを使って立体的な「りんご」を完成させる問題にAくんは大苦戦。お手本には正面から見える見取り図しか描かれていません。
「これ、どうやって作るのー?」
と言いながら試行錯誤していましたが、完成させることができませんでした。

 次の週、算数プリントを解き終わってからすぐに「りんご」に取り掛かったAくん。キューブを組んでは崩し、組んでは崩しを何度も繰り返しています。授業が始まってからも隙を見てはキューブキューブを触って「りんご」を完成させようとしていました。残念ながら、この日も完成させることができませんでした。

 また次の週も、Aくんは「りんご」にチャレンジしました。あともう少し! というところまでいきますが、完成までたどり着きません。
「これ本当に作れるの? りんごを作れた人はほかにいる?」
と完成できないことに対して苛立った様子のAくん。
「Aくんならできるよ!」
と声をかけ続けました。一度は弱音を吐いたものの、負けず嫌いのAくんは何度も何度も手を動かします。

 そしてついに、
「できた!!」
と叫んだAくん。手元には完成した「りんご」がありました。
「すごいね! やったね! 頑張ったね!」
Aくんは本当に嬉しそうにはにかんで照れくさそうにしていました。その日の授業が終わるまでAくんは完成させた「りんご」を机の端に飾って、授業中にときどき手を止めてはうっとりと眺めていました。

 「りんご」を完成させた次の週、Aくんは教室に来て早々
「いやー、おれ、先週りんごを作れたのめっちゃすごかったなー!」
と鼻高々でした。頑張ったぶんだけ褒めてもらいたいという様子がとても微笑ましいなと思いました。

 最後まであきらめなかったAくん。この経験はAくんの今後の自信につながるでしょう。私もAくんのように最後まであきらめずにパズルの完成を目指したいと思います。

花まる学習会 筒井佳菜(2023年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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