2023年度の花まるサマースクール、現場からのレポートをお届けします!
今回は、湯沢エリア(新潟県)の責任者を務めた「ダイブ」のレポートです。
あの日の風景
湯沢エリアを担当しました、ダイブです。今夏のサマースクールを振り返ったとき、パッと思い浮かんだのは「わくわくアドベンチャー」コースでのひとコマでした。心に残ったできごとをご紹介します。
わくわくアドベンチャーのプログラムの一つ、100人鬼ごっこ。タスキを活用した、しっぽとりの鬼ごっこです。宿泊する宿ごとの対抗戦で、攻守を交代しながら本気の勝負に挑みます。3宿での総当たり戦の末に迎えた最終勝負は、代表戦。各宿から選ばれた代表7名ずつが勝負の場に立ちます。仲間からの期待と応援を一身に背負う代表者たち。熱い声援に背を押され、最後の最後まで足を止めることなく走り続けました。勝敗が決したあと、草原中に響き渡るほどの歓声があがりました。一方、タスキをとられ、堪えきれずに涙を流した子もいます。自分だけの勝負ではなく、仲間の想いを背負ったからこその涙です。
そこで目にしたのは、自分の宿の代表だけでなく、ほかの宿の代表にも自然と拍手を送っていた子どもたちの姿です。「よくがんばった!」「ナイスファイト~」そんな言葉とともに、互いの頑張りを称え合っていたのです。すると、顔を覆って涙を流していた子が、ほかの子に肩を支えられながらもゆっくりと顔を上げ、相手チームに向かって一礼。もちろん、勝負心は大事。ですが、勝ち負けを超えて生まれる連帯感があります。最高の相手がいるから、最高の勝負ができる。あの場にいたのは、間違いなくともに高め合う仲間たちです。
あたたかい空気が流れるなか、閉会式を終えました。まもなく迎えのバスが到着しようかというそのとき、私の目に飛び込んできた風景がありました。それは、圧倒的なまでの大自然のコントラストです。足元を見れば緑の草原、空を見上げれば青い空に白い雲。プログラムの最中は、目の前の子どもたちのことに夢中で景色を味わう余裕はありませんでしたが、ふと訪れた余白の時間に、大自然からの贈り物が届けられたのです。
ここで立ち止まらないのは、サマースクールじゃない。
みんなで大草原に寝ころび、大地を、空を感じる時間をつくりました。
人生のなかでほんの1分程度の寄り道。
形に残るモノじゃない。プログラムにもない。帰ったあと、子どもたちの話題には上らないかもしれない。けれども、確かにともにしたものがあるのです。あの日、あのとき、あの仲間たちと。こうしたひとコマが、サマースクールにはあふれています。
保護者のみなさま、大切なお子さまをお預けくださり、本当にありがとうございました。子どもたちの「心」を育てる野外体験。プログラムだけではなく、余白の時間にも子どもたちの心を揺さぶる瞬間が訪れます。だからこそ、私たち大人が心の感度を上げ、子どもたちとともに一分一秒を大切に過ごしてまいります。
2023年 夏
花まる学習会 ダイブ/高橋大輔
🌳花まる野外体験公式サイト
https://hanamaruyagai.jp/