一年生、真ん中っ子長男が、取り組んでいる花まるの宿題「あさがお」(書き写しの教材)。ある日の一ページが衝撃的でした。
唖然。呆然。ちなみにこの日は、6月1日ですらない(見た瞬間、かっと頭に血がのぼって怒鳴ってしまったのは、ここだけの話です)。
とりあえず、一晩寝かせました。そして「これはもう、ネタにするしかない!」と思い立ち、まずは教室長に写真を送ってみました。
私「すみません、うちの子が、あまのじゃくで…」
M先生「見ました! 最初の『おじいさん』の滑り出しはまずまずだなと見ていたのですが、途中から遊び心が入りましたかね! ただ、4月スタート時とは違い、順番に書いていますね!」
! このあさがおを「遊び心」と言ってくれる先生の懐の深さ! そして、親はすっかり忘れていたのですが、確かに4月のあさがおも、なかなか衝撃的でした。
好きな順番に数字をふって文字を書いていく、というあまのじゃくっぷり。比較すると、成長している。外の人に子どもの様子を定点観測してもらっているありがたさを感じました。
次に、仕事で話す機会があったH先生に写真を送ってみました。
私「うちの子のあさがおが衝撃的で…」
H先生「『こんなこと書いちゃって~甘えたいんだね、よしよし』って、思い切り赤ちゃん扱いしてあげたら喜ぶかも」
! なるほど!! 真ん中っ子。下がまだ小さいので、甘えたいオーラが出ているのは感じていました。ただ、子どもを「学習」という側面で見てしまうと、「できていないこと」が目の前にあるので、本人の課題点が「学習」にあると思い込んでしまい、それをどうすればいいのかということにしか頭が回っていませんでした。
最近読んだ本に、韓国のことわざ【反対側の足をかく…かゆい足を放っておいて反対の足をかく。問題の本質を把握できず、意味のないことに時間や力を注いでしまうたとえ】が紹介されていたのを思い出しました。
改めて、なるほどなぁ。学習面の課題を解決したいと思ったときに、一つの課題を細かく分析して、それに応じた対策をとることも大切。ただ同時に、俯瞰した目線で“子ども全体”を眺めると、一見関係なさそうに見えるところにも本質的な課題が隠れていることもある。俯瞰する力は、花まるが提唱する算数脳の「見える力」「詰める力」につぐ、3つめの「あそぶ力」にも通ずるところがありそうです。
今回、私が「ちゃんと“あさがお”をやりなさい!!」とイライラする気持ちを消化させたSTEPです。
STEP1 笑いに変える(変えてもらう):M先生の“遊び心”という一言で、心がすっと軽くなりました。
STEP2 変化に注目する(変化を教えてもらう):その子なりの成長点を探す。形としては残らない成長もある(「前より鉛筆を持っている時間が長くなった」など)。
STEP3 視野を広げる(広げてもらう):俯瞰した視点で、問題の本質がどこかにかくれていないかを探る。そして、行動にうつす。
というわけで、「長男を徹底的に甘やかす作戦」を実行中です。宿題前後のスキンシップを多めにする、また、どんなにふざけても、私はあなたがかわいくて仕方ないんだよー(にこにこ)という目線を送る。
この作戦の効果が現れるのに一か月かかるか、半年かかるかはわかりませんが、また困ったらいろいろな人を巻き込みつつ小さな変化や問題の本質を見逃さないように、ゆっくりと観察していけたらいいな、と思っています。
花まる学習会 勝谷里美
🌸著者|勝谷 里美
花まる学習会の教室長を担当しながら、花まる学習会や公立小学校向けの教材開発や、書籍出版に携わる。現在は、3児の母として子育てに奮闘中。著書に『東大脳ドリルこくご伝える力編』『東大脳ドリルかんじ初級』『東大脳ドリルさんすう初級』(学研プラス)ほか