【花まるリビング㉖】『自分の“対:子ども”の、引き出しを充実させる』勝谷里美 2023年7・8月

【花まるリビング㉖】『自分の“対:子ども”の、引き出しを充実させる』勝谷里美 2023年7・8月

 「夏休み」という言葉を聞いて、親は何を思うでしょう。正直「長すぎる……!」。特に長女が小学生になって初めての年は、「小学生の夏休みってこんなに長いんだ⁉」と驚きました。コロナでおうち時間が多くなっていたことも重なり、いったい何をして過ごせばいいのか悩みに悩んだものです。

 わが家は、小学生の夏休みも三年目。長男は、普段から休日になると「何したらいいの~? することない!」となりがちなこともあり、夏休みはすぐに、暇だ暇だと言い出しそうで、いまから戦々恐々。なんとか、自分自身が心穏やかに乗り切りたい、と思い、2つの作戦を考えました。

1.何か一つ、小さな“非日常”を準備しておく
 夏休みの最大の難関「飽き」と戦うために、普段の生活でも、驚きと楽しさを生み出すためのエッセンスを準備する。
 たとえば、わが家は、いま年の差三きょうだいの寝かしつけに苦戦中ですが(上二人も母と寝たい、遊びたい、本を読んでほしいが、一番下の次女が眠くなる時間にはまだ寝たくない)、そんななか、この前成功したのが

・部屋は暗くして、次女を寝かしつけ
・上二人は、寝室に備え付けのウォークインクローゼットのなかでデスクライトだけつけて、次女が寝るまで読書タイム

という作戦。
 ただ「妹が寝るまで、本を読んで待っていてね」だと「えーいやだー」となるのですが、狭い空間に秘密基地のような非日常の空間を作っただけで、のりのりで読書を楽しめていました。
 また、最近友達に教えてもらったのが、【「食紅」を使うと、水遊び(ちょっと掃除が大変だけれど、お風呂での水遊びでも使える)の幅が広がる】というTips。なるほど! 楽しそう! と思い、夏休みに、お風呂をいやがったとき用のスペシャルアイテムとして「食紅」を家に常備しておこうと思いました。これも、小さな“非日常”。
 その場で考えるのは大変なので、前もって“非日常”のネタを夏休み用にストックしておこうと思っています。

2.母である自分自身のマインドセットを変える
 私にとって「夏休み」のもう一つの難関は、自分の時間がなくなっていくことです。あれもしたい、これもしたい、でも子どもが話しかけてくる……自分の時間はどこに行った……。夜は家事に追われ、朝早起きしてやっと自分の時間! と思ったら、休みの日に限って、子どもが早く起きてきたりしますよね。そして、自分の時間がなくなっていくイライラを子どもにぶつけてしまう……。
 そんななか、最近ちょっと楽になった考え方。

「私の自分時間が、子どもに奪われている」のではなく、「私が、子どもに自分の時間をシェアしている」

 言い回しの問題ではありますが、自分自身が能動的に時間をシェアしている、と深呼吸して覚悟を決めると、ちょっとだけ背筋が伸びて、この時間をどうやって楽しもうかな? という方向に持っていける気がしました。

 あとは、「子どもと過ごす時間に、与えることばかりを考えず、自分がしてもらうことを考えてもいい」という考え方。
 うちの子たちは、基本的にお手伝いが嫌いです。ただ、以前、「母の誕生日プレゼントに」「秘密で」「何かを作る」という作業が、ぴたっとはまったみたいで、それは親を介さず、こそこそと集中した時間を過ごしていました。【誰かのために何かをしてもらう=お手伝い】とは限らない、というのが発見でした。

 何事も考え方次第。母である自分がちょっと苦しいぞ、と思いながら過ごして、結果、積もった不満が爆発してしまうよりは、心地よく、楽で楽しいほうで。子どもも、家族も、そして自分も心地よく過ごせるネタの引き出しを、充実させていきたいと思います。

花まる学習会 勝谷里美


🌸著者|勝谷 里美

勝谷里美 花まる学習会の教室長を担当しながら、花まる学習会や公立小学校向けの教材開発や、書籍出版に携わる。現在は、3児の母として子育てに奮闘中。著書に『東大脳ドリルこくご伝える力編』『東大脳ドリルかんじ初級』『東大脳ドリルさんすう初級』(学研プラス)ほか

花まる教室長の子育て奮闘記カテゴリの最新記事