『半分、減らす。』(著:川野 泰周 三笠書房)という本を読みました。【医師で禅僧の著者が指南する、より少なく、より豊かに暮らすための「シンプル生活術」】ということで、とても興味深く拝読したのですが、そのなかに
――日々の行動にしっかり“句読点”を打つ――
という考え方がありました。これは子育てにも当てはまるように思います。
一年生になった長男。オンラインの花まるの授業も60分から90分へ。小学校でもこれまでとは比べものにならない学習時間。登下校の体力的負担も増え、一年生の一学期は本当に頑張っていると思います。頑張っているのはわかる、のですが……。
4月2回目の花まるの授業のとき。開始早々、長男は画面から消え、やりたくないー疲れたーとだだをこねて、ついにPCの前に戻らず床で寝てしまい、その日の授業が終了しました。
「ああ、一回分の月謝が……(泣)」「“今日だけは”を許すことで、来週も参加しなくなったらどうしよう……(悩)」「楽しく学ぶ場なのに、無理強いして勉強を嫌いになったらいやだしなぁ(困)」など複雑な想いがよぎります。本人は寝て起きたらすっきり、ですが、親としては、どうしよう……とモヤモヤ状態でした。
そんなときに出合ったのが冒頭の本の一説。“句読点”を打つ、の提言の意図としては、【「つい、やりすぎてしまう行動」に歯止めをかけて、「ほどほどを意識した考え方と行動を心身に落とし込み」「自らの健康を守り、豊かな人生を実現する」】とのことなのですが、わが身を振り返ったときに、子育てにも 「、」や「。」を打つ感覚って役立つかも?と思ったのです。
子どもと過ごす日常はめまぐるしく、一方で、変わらない日々がずっと続くような感覚もあり、毎日意識せずとも時間が流れていきます。幸せなことでもあるのですが、昨日悩んでいたことが解決しないまま次の日には別の悩みが発生したり、小さな成長に気づかないまま時が進んでしまったりする面もあります。
そんな「子どもの様子」を定点観測できる機会の一つを、週に一回の花まるの授業に設定してみてはどうでしょう。「先週できなかったことができるようになった」「今週はこんな苦手が見つかった」など、「先生」という第三者の目で見てもらえるので、自分だけで抱え込まずに観察できます。
今回、長男が「授業に参加できなかった」ことは、ただそれだけを取り上げるとモヤモヤが発生しますが、一度に多くを求めすぎていたのかもしれません。ちょっと俯瞰して(「、」を打って考えて)みると、長い子育ての道のりのマイルストーンの一つに変えることができそうです。
【90分座って意欲的に授業を受ける】をゴールとするならば、次のマイルストーンを置く場所を【来週の授業】に設定し、内容をその子が達成できそうな小目標に設定する。ちょっとずつちょっとずつ進めばいい。
いつも絶え間なく、つい子どもに求めすぎてしまうのではなく、週に一回の花まるの授業で、長く続く子育てに「、」を打って、階段一段分の目標設定。目標の階段をのぼれたらいっぱいほめよう。のぼれなかったら、ちょっと休憩中ということにしよう。子どもが休憩中のときは、親だって立ち止まって、好きな飲みもの片手に休憩しちゃおう、ぐらいでもいいのかもしれません。
とりあえず、長男の次の花まるの目標は「終わりの挨拶を大きな声で言う」(もし言えなかったら、授業のあと、Comiruで先生にメッセージを送る)にしようかな、と、そんなふうに考えています。
花まる学習会 勝谷里美
🌸著者|勝谷 里美
花まる学習会の教室長を担当しながら、花まる学習会や公立小学校向けの教材開発や、書籍出版に携わる。現在は、3児の母として子育てに奮闘中。著書に『東大脳ドリルこくご伝える力編』『東大脳ドリルかんじ初級』『東大脳ドリルさんすう初級』(学研プラス)ほか