【花まるリビング㉔】『子どもは、熱量のあるほうに流れる』勝谷里美 2023年5月

【花まるリビング㉔】『子どもは、熱量のあるほうに流れる』勝谷里美 2023年5月

 「水は低きに流れる」という孟子の言葉があります。水が高いほうから低いほうへ流れるように、物事が自然の成り行きに従って運んでいくことのたとえだそうです。また、それに続き「人は易きに流れる」という言葉も聞きます。人は、無意識のうちに、楽なほうに流されてしまう、という教訓だそうです。
 これにかけて、私は最近、「子どもは、熱量のあるほうに流れる」と思っています。
 たとえば、お風呂あがり。1才半になる次女に保湿クリームをぬろうと待ち構えているのですが、そんな母親のところにはまったく寄り付かず、裸で楽しそうに駆け回っているお兄ちゃんのあとをトコトコトコトコ追い掛け回しています。どちらが“楽しい”というエネルギーを発しているのかを、本能的に察知しているのでしょう。
 たとえば、音楽。時々、次女のためにCDで童謡を流していて、それはそれで楽しそうに聞いてはいる。ところが、8歳の長女が少し離れたところで、流行りの曲に合わせて踊りはじめると、次女は必ずそちらに向かっていき、一緒に手をぶんぶん振り回しています。機械よりも、人の熱量に惹かれるのだろうか……そうだよね、お姉ちゃん、楽しそうだもんね、なんて見ていて思います。
 もう一つ子どもたちを観察していて気づいたのは、子どもをひきつける「熱量」の最上級は、「目の前のあなたのことを笑わせるよ」というメッセージを込めたものではないのか、ということです。親になり、大から小まで、子どものイヤイヤ対応をする場面はたくさんありますが、「待つ」ことが大切。それに加えて、親側のエネルギーを、よいしょと振り絞って、場の空気を「笑い」に持っていくことができたら、割とイヤイヤを乗り越えられる場合が多いのです。「あなたを笑わせたい」というメッセージは、子どもにとって、とても嬉しい愛情表現でもあるのでしょう。

 花まるの授業は、全体的な躍動感を大切にしていますが、その躍動感を生み出すためにも、前に立っている教室長の圧倒的な熱量が必要になってきます。「あなたたちを躍動させますよ、頭をぐるぐる回転させている楽しい状態にしますよ」というエネルギーのぶつけ合い。

 5月、新生活のリズムに慣れてくる頃……とも聞きますが、相変わらず毎日ドタバタのわが家。生活のなかで、子どもとともにいる時間の長い親が、花まるの先生と同じくらいの量のエネルギーを四六時中出すことは疲れてしまうので、本当に無理……と思うのですが、その日の自分のエネルギー残量を見極めて、要所要所でドカンとエネルギーをかける。「あなたのことを笑わせるよ」というメッセージに変えてエネルギーを発する。それが結果、子どもたちにとっても親にとっても、いい生活リズム、楽しい日常につながればいいなと思い、日々試行錯誤中です。

花まる学習会 勝谷里美


🌸著者|勝谷 里美

勝谷里美 花まる学習会の教室長を担当しながら、花まる学習会や公立小学校向けの教材開発や、書籍出版に携わる。現在は、3児の母として子育てに奮闘中。著書に『東大脳ドリルこくご伝える力編』『東大脳ドリルかんじ初級』『東大脳ドリルさんすう初級』(学研プラス)ほか

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