【花まるリビング⑳】『「巻き込む力」―子育てに、信頼できる大人を巻き込む』勝谷里美 2023年1月

【花まるリビング⑳】『「巻き込む力」―子育てに、信頼できる大人を巻き込む』勝谷里美 2023年1月

 年長の長男。花まるオンラインでM先生にお世話になっています。Iキューブと思考実験は大好きですが、文字がまだすらすら書けません。ある日、授業後に「文字のページ苦手なんだよなぁ」と言っていたので、(「苦手」と自分から言い出したらまずい!)と思い、毎日ちょっとだけひらがなを書く練習を一緒にしようとしたのですが…うまくいきません。(無理やりではなく、クイズを入れるなど、楽しくやっているつもりなんだけどなぁ)と悩んで、M先生に話してみたところ、こんな指令を送ってくれました。

 それを見た長男、「M先生のポイント、全部とる!」と、がっと前のめりに。手前味噌ながら(花まるの先生すごいな)と思ってしまいました。

 二年生の長女も、花まるオンラインでK先生にお世話になっています。11月の作文コンテストの日。事前に考えていた題材は「夏休みの最初から最後まで、あったことを全部書く」というもの。書きたいことを書くのが一番。とはいえ、テーマを一つに絞るのが定石だけどどうしようかな…と悩み、K先生に事前に相談。「一つのものをよく見る、考えるという指導はするけれど、書きたい気持ちを大切にしますね」と言ってもらえて一安心。結果、まったくちがうテーマを一つに絞り書ききっただけでなく、寝る前に、本人が「作文、好きになったかもしれない!」と笑っていて、これまたびっくり。親の私が指導してもこんな効果は生まれなかったと思うので、(ミラクルだ…)と感動しました。

 これらの出来事で私が学んだのは、「花まるすごい」ということではなく(もちろん、それもお伝えしたくはあるのですが…!)母の「巻き込み力」が、実は大事かもしれない、という点です。11月のコラムにも書いたのですが、「思い込み」を捨てるとちょっと子育てが楽になる。私の場合「私は花まるの先生だから、子育てが得意じゃないといけない」といった思い込みがあったことに最近気づきました。それを捨てて、「苦手でもいっか!子育てが得意で任せられる人がいたら、巻き込もう」と考えを変えて、一歩踏み出してみると、花まるの先生は、家庭の傍にいるちょうどよい距離感の大人、という点で、とても巻き込みやすい存在でした。

 また、「先生に頼る」という言葉よりも、「私の子育てに、先生を巻き込む」という言葉のほうが、しっくりくるのも新しい気づきでした。一方的にお任せするのではなく、ベン図が重なり合うように、子どもを中心に、見守る大人を増やしていく感覚です。

 私が新人教室長だった頃。授業後に、「さっき昼のニュースでこんな速報があって!先生、授業だったからまだ見てないでしょう?」など、授業以外の話題を多く話しかけてきてくれるお母さんがいました。また、あるお母さんは「花まるでクリスマス会やりませんか?」と企画してくださいました。―ああ、あのとき、お母さんたちは、子どもを中心に、私という先生を、そのご家庭の子育て仲間に『巻き込もう』としてくれていたのかもしれない―と、ふと思いました。

 高学年以降「外の師匠」が大事、ということは、高濱もよくお伝えしていますが、それより前の段階からでも、子どもをいろいろな視点で見守る「子育て仲間」がいるに越したことはありません。これから進学、進級と慌ただしい時期ですが、もしちょっとでもお悩みのことがあったら、ぜひ、花まるの先生をこれまで以上に、あなたの「子育て仲間」に「巻き込んで」みませんか?何かのお役に立てることがあれば、とても嬉しく思います。

花まる学習会 勝谷里美


🌸著者|勝谷 里美

勝谷里美 花まる学習会の教室長を担当しながら、花まる学習会や公立小学校向けの教材開発や、書籍出版に携わる。現在は、3児の母として子育てに奮闘中。著書に『東大脳ドリルこくご伝える力編』『東大脳ドリルかんじ初級』『東大脳ドリルさんすう初級』(学研プラス)ほか

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