【花まるリビング⑧】『エネルギーがぶつかり合う、きょうだいげんか』勝谷里美 2021年12月

【花まるリビング⑧】『エネルギーがぶつかり合う、きょうだいげんか』勝谷里美 2021年12月

 花まる教室長時代、きょうだいげんかのご相談をよく受けていました。かくいうわが家も…7才娘と5才息子が、ことあるごとにぶつかる毎日です。
「自分が、おねえちゃんより先に、玄関から出たい!」と大泣きする弟。
「Aが、ねぇねの、おもちゃを勝手にさわった!」とへそをまげ続ける姉。
「いい加減にしなさい!!!」と、かーっと沸騰する日もあれば、「もう、そんな些細なことでまたけんか、勘弁してよ」と、心からうんざり、という視線を子どもに送ってしまうこともあります。
 高濱が講演で、「きょうだい間で、母親からの愛情の争奪戦がある」という話をしますが、「そんなに愛情足りていないのかな…」と、自己嫌悪に陥ることもあります。
 ある日、この本を読み聞かせの時間に読みました。

 内容をご紹介するとネタバレになってしまうのですが、姉が弟の誕生日プレゼントとして買っておいたチョコレートを全部自分で食べてしまって…でも最後には、あるきかっけで家族みんなが「ニコニコ」で終わるストーリーです。
 何に驚いたかというと、それこそわが家でそんな事件があれば、「大ゲンカ!!!」の場面にもかかわらず、本の中では、「ケンカ」「仲直り」や、「ごめんね!」というくだりが…一切ないのです。
 大人の私から見たら、「えー、弟は、自分の誕生日プレゼントを姉に食べられたのに、そんなに簡単に許しちゃっていいの…?」と思ったのですが、一緒に読んだ子どもたちは、「けたけた」笑うだけで、“仲直り”がないことに関しては一切頓着していない様子でした。

『こねこのチョコレート』
B・K・ウィルソン 作
大社 玲子 絵
小林 いづみ 訳
(こぐま社)

 そのとき、ああ、「振り返らない」「こだわらない」「忘れっぽい」のは幼児の特性そのものだったな、と思い出しました。

 きょうだいげんかの内容に対して、大人は深刻に悩んでしまいますが、子どもたちは、もしかしたらそれほど内容を深刻視していないのかもしれません。ただのエネルギーのぶつかり合い、と片付けるのは乱暴かもしれませんが、生命力あふれる生き物と生き物が同じ場所にいたら、必然とぶつかり合ってしまう感じでしょうか。

 子どもたちを観察していると、きょうだいを向き合わせて「仲直り」させるよりも、その「エネルギー」を別の方向に発散させた方が、いい具合にまとまることが多いことに気づきました。

 わが家では、工作などをするときに、向かい合ってさせるよりも横並びに座らせるほうが、自分の目の前のことに集中してけんかが減ります。空間が広い場所(公園など野外は特に)で遊んでいるときにぶつかりあうような大きなけんかはあまりしません。
 また、一時期、きょうだいで「近所の田んぼのカエルを捕まえる」ブームがあったのですが、そのときはこちらが驚くぐらいのチームワークを発揮していました。コロナ禍で室内遊びが増えて、日々の小競り合いが絶えなかっただけに、その「外での仲の良さ」はとても貴重で……。子ども同士のエネルギーをぶつかり合わせないためにも、解放された空間での外遊びは大切だなぁ、と実感しました。

 ちなみに、子ども同士が言い合っていたり、険悪な雰囲気を出していたりするときに、そちらにはまったく構わず、親が好きな絵本を朗読し始める、という手も、わが家では効果的でした。けんかのことはさっと忘れて、横に来て聞き始めて、結果「あれ?さっき何でもめていたんだっけ?」ということも。

 十人十色、ご家庭それぞれのきょうだいげんかの対処法があるかと思います。やがては親の手を離れていき、そんなけんかの時間も懐かしく感じるのかもしれませんが…。“困っている今の時間”に、何かひとつでもご参考になれば嬉しく思います。

花まる学習会 勝谷里美


🌸著者|勝谷 里美

勝谷里美 花まる学習会の教室長を担当しながら、花まる学習会や公立小学校向けの教材開発や、書籍出版に携わる。現在は、2児の母として子育てに奮闘中。著書に『東大脳ドリルこくご伝える力編』『東大脳ドリルかんじ初級』『東大脳ドリルさんすう初級』(学研プラス)ほか

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