花まる学習会の低学年・高学年コースでは、授業内で毎週「作文」を書きます。
「擬音語・擬態語・比喩を作文のなかで使うと、読んでいる人に、そのときのことをより鮮明に伝えることができるよ!」
とだけ伝え、テーマや書きたいことは子どもたちにゆだねます。私は、子どもたちが日々の生活のなかで見つけた小さな発見や、身近でおこった出来事を書いた作文を読むのが何よりも好きな時間です。そんな作文タイムで書き上げた3年生Rくんの作文が非常に素敵だったので、みなさんにご紹介したいと思います。
ぼくは、ほうれんそうをにんにくといためたものが大好きです。ジュージューとみずみずしい音とともに、にんにくのいいかおりがへやじゅうにひろがります。この作文を書いていて気づいたことがあります。「ほうれんそうをいためる」はおいしそうだけど、「ほうれんそうをやく」はおいしくなさそうだということに。
どちらもやっていることは同じだけど、言葉が少しちがうだけで、いっきにおいしさのイメージがかわってしまうと思います。
ほうれんそうのおいしさが伝わってくるRくんの素敵な作文を、クラスのみんなに向けて読み上げ、共有しました。すると、Rくんの作文を聞いていた1年生のMちゃんが、
「『ジュージュー』ってところからおいしさが伝わってくる!」
と、舌をペロッと出すかわいらしいしぐさを見せました。
「炒める」と「焼く」はどちらもやっていることは同じなのか?と私は疑問を抱き、広辞苑で教室のみんなと一緒に調べてみることにしました。
【炒める】
熱した調理器具の上に少量の油をひいて、食材同士をぶつけるように動かしながら加熱・調理すること。
【焼く】
火を当てたり熱した器具の上に乗せたりして、食材を加熱・調理すること。
「炒める」と「焼く」は、似て非なるものでした。子どもたちにとって「初めて出合う言葉」はたくさんあるからこそ、日本語のもつ、言葉の繊細さ、おもしろさを伝えていきたいと思う一場面でした。今後も授業内の作文タイムを通して、書くことのおもしろさ、書き残しておくことの大切さ、初めて出合う言葉へのワクワク感を伝えてまいります。
11月には特別授業「作文コンテスト」を開催します。子どもたちのいましか書けない素敵な作文を読むことを楽しみにしております。
花まる学習会 小池麻菜(2021年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。