3月末に開催した雪国スクール。担当したのは7人の女の子班でした。エキスパートクラスに挑戦するため、スキーの神様こと「ライガー」(リーダー)にアドバイスをもらいに行きました。そこで、自分たちが履いているスキー板とは分厚さも大きさも異なる、スキージャンプ用の板を発見!ライガーに質問してみると、
ライガー「お宿のご主人のお孫さんは、習い事でスキージャンプをしているんだって!」
それを聞いて、目を丸くして驚く子どもたち。自分たちの住む地域では耳馴染みのない習い事です。
ライガー「みんなは、いつもどうやって学校に通っているの?」
「歩いて5分!」
「電車で30分くらいかな!」
ライガー「このあたりの子は、冬、いま以上の雪道を45分くらいかけて歩いて通っているんだよ。関東では大雪が降ると、警報が出て学校がお休みになるよね。でも、ここではその大雪が“当たり前”なんだって」
「ええええ~~~~!!!」
声を揃えて驚きます。まさに彼女たちの世界が広がった瞬間です。
彼女たちにとっての“当たり前”は、電車や徒歩で学校に通うことです。しかし、長時間かけて深い雪の山道を通学する子もいるということ。小さいかもしれませんが、一種の異文化理解です(ちなみに私の小学時代の通学は、ヘルメットをかぶっての自転車通学でした)。
以前、山村留学を受け入れている学校に通う子に話を聞く機会がありました。
「留学に来ている子はどう?」
と尋ねると
「ケンカが強いです」
とのこと。その気持ち、言いたいこと、とてもわかる気がしました。普段どれだけの人数の子どもたちのなかで暮らしているのか、どんなふうにコミュニケーションをとりあっているのかなどによって、性格や雰囲気に大きな違いを感じるのだと思います。
同じ日本でも地域によってこんなにも暮らしぶりが違うということは、一歩踏み出してみないとなかなか感じられません。野外体験は、この違いを肌で感じ、視野を広げることができる、とっておきの機会だと感じます。
大自然のなかでしか見られない満点の星空、野生のシカを見かける経験、そんな環境の違いにドキドキ・ワクワクすることは、“当たり前”を越えるために必要な感性だと思います。
受け入れられない!と突き放すのではなく、「おもしろそう!」と一歩踏み込んで異文化を受け入れる心を。私も教室で、そして野外体験で、伝えられることはとことん伝えていこうと思っています。
花まる学習会 泉奈津穂(2022年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。