新年度、不安のドキドキと楽しみのワクワクで胸をいっぱいにして子どもたちが教室にやってきました。
新年中のTくん。新しい環境と、新しい友達。親元から離れて一人、慣れないことばかりで最初は不安そうでしたが、教室に入ってくる子を見つけると「新しいお友達だ!」と自分から声をかけました。新しい仲間と、音読をして、数をかぞえて、Iキューブで遊んで。始まる前の不安の表情はどこかへ飛んでいってしまったようでした。
年中の子にとって長く感じるはずの60分でしたが「え、もう花まる終わりなの?」と驚いた表情を見せていました。それだけ夢中になって授業に取り組んでいた証拠です。お母さんが迎えに来ても「帰りたくない」と年長の授業を見学するほどでした。
初めて会う友達ともすぐに仲良くなり、好奇心旺盛で前向きに授業に向かうTくん。これが生きる力だ!と、たくましさを感じました。
新年長クラスのYちゃん。教室に来てすぐに、「Yね、年長さんになったの!あと一年したら小学生になるんだよ!」と嬉しそうな顔。新しい一年が始まったばかりなのに、もう来年のことを考えているなんてかわいいな、と思いながら「そっか、もうお姉さんだもんね。年長クラスでも花まるを楽しもうね!」と言うと、また嬉しそうな顔で机に向かい、授業の準備を始めました。
年中コースの頃は、マイペースでIキューブや思考体験で難しさを感じるとすぐに「できない。もうやらない。先生やって」と諦めていたYちゃん。しかし、年長なると誰よりも早く準備をして、5つの約束「みる、きく、しせい、はい、えんぴつ」を自ら意識して取り組む急成長を見せています。苦手なIキューブでも、諦めずにキューブをくるくる回転させて見本と同じ形にたどりつけるようになりました。もう授業終盤に「お迎えまだかな」とソワソワし始めることもありません。授業が終わる最後の1秒まで、夢中になって取り組みます。
Yちゃんにとって、年長になったことや、あと一年で小学生になること、新しく花まるに入ってきた子が多くいるこの新しい環境が、大きな力となっているのでしょう。
ほかにも、慣れない毎日の宿題をお母さんと一緒に頑張っている1年生や、苦手な算数を今年こそは好きになるぞと意気込んでいる3年生、「俺、初期メンバーだからさ!」と体験に来た子に優しく話しかけ、わからないことを教えてあげようとする5年生など、子どもたちの頼もしい姿があちこちでみられました。
新しい環境には不安がつきものですが、ワクワクの連続でもあります。初めての体験や、あと一歩で憧れの小学生になること、後輩ができたこと、さまざまなきっかけに子どもたちが背中を押されて一歩を踏み出していることに気づかされました。
その力をさらに大きくして成長につなげられるように、ときには見守り、ときには手を差し伸べていきたいと思います。私自身も新しい教室で、初めて出会う子どもたちとともに成長できるよう、毎週全力で授業に取り組んでまいります。
花まる学習会 西山由乃(2021年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。