【花まるリビング⑯】『日記をつけてみる』勝谷里美 2022年9月

【花まるリビング⑯】『日記をつけてみる』勝谷里美 2022年9月

 夏休みの定番の宿題、絵日記。この夏、取り組まれたご家庭も多いのではないでしょうか。今回は、わが家の子育てのある瞬間に感じたこと、考えたことを、日記風に短い文章でお届けしてみようかと思います。

〇月×日
 0歳次女がどうしても泣き止まないときに、某おむつメーカーのキャラクターの動画(YouTube)を見せるとぴたっと泣き止む。それを見ていた6歳長男が「自分も見たい!!」と大騒ぎ。(YouTube中毒?いや、赤ちゃん返り?)と心配するも、一度その動画を見せてみると、じーっと見ながら、「ぷっぷーっていう音が入っているね」「あ、同じ動画が繰り返しで出てくるんだね」などぶつぶつ言っていた。そんな視点で見られるようになったんだね!とびっくり。先回りで心配してしまうのは、親の悪いくせだなぁ。

〇月△日
 プチ反抗期の8歳長女と話していると、自分がサンドバッグにでもなったような気分になる。花まるの作文の理念「息をするように書けるようになる」という言葉がとても好きだが、「息をするように親に文句を言う」のが反抗期なのだろう。高濱が講演会で、母親の思春期女子への接し方は、職場の先輩後輩のような関係、と話しているが、だいぶ心の広い先輩―鈍感力があってたいていのことは笑って許せるようなどーんと構えた先輩―にならなければ、良好な関係は築けなさそう…。

〇月☆日
 ママ友との会話。「将来を見据えて、買い与えはしないで」というのはわかる。とてもわかる、が、そんなに遠い未来ではなく「今日の夜、いかに全員がごきげんな状態で、子どもたちの寝かしつけまでたどりつけるか」を自分のなかのゴールにしていると、ついスーパーでお菓子ぐらいは、と買い与えてしまう。母がご機嫌でいることを優先させるか、子どもの将来を優先させるか…、結局いいバランスを見つけていくしかないか。

〇月□日
 「どんなに遊び心を持った渡し方をしたとしても、『親というだけで絶対に無理!』な場合がある」と、半年ぐらい前の私のメモ帳に残っていた言葉。学校の宿題の音読をいやがる長女への接し方に悩んでいたときのこと。
 この前、子どもたちをお風呂に入れる際に、0歳の次女と長女だけで別室で待ってもらっている時間があった。「よろしくねー」とだけ言ってお風呂に行こうとすると、「わかった!じゃあ、〇〇ちゃんに宿題の音読聞かせてあげるね」と、自主的に国語の教科書を読みだす長女。(え!!!あんなに嫌がってたじゃん!)と驚愕。自分のために頑張る、という理屈は通じなくても、誰かのためだったら頑張れるのかもしれない。
 

 改めて日々の一場面を言葉にしてみると、シンプルですが、子どもは「日々、成長」しているんだなぁと実感しました。9か月を迎えた次女は、寝返り→おすわり→つかまり立ち、と日々、目覚ましい成長を遂げているのですが、8歳だって、6歳だって、目に見えない心の部分は、同じぐらいの速度で成長しているのかもしれません。ただ、わかりやすいものではなく、横に広がったり、深くくぼんだり、ぐねぐねしたり…いろいろなかたちの成長があるのでしょう。
 日々成長する子どもと向き合う大人の私こそ、パワーを蓄えなくてはいけないし、ゆっくりでいいから成長していきたいと思わされました。

 ちょうど、家の日めくりカレンダーに孔子の味わい深い言葉が載っていました。

〇月◇日
 ―立ち止まってしまわない限り、どんなにゆっくり進もうとかまわないのだ 孔子―

花まる学習会 勝谷里美


🌸著者|勝谷 里美

勝谷里美 花まる学習会の教室長を担当しながら、花まる学習会や公立小学校向けの教材開発や、書籍出版に携わる。現在は、3児の母として子育てに奮闘中。著書に『東大脳ドリルこくご伝える力編』『東大脳ドリルかんじ初級』『東大脳ドリルさんすう初級』(学研プラス)ほか

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