【花まるコラム】『群れで学ぶ』前原匡樹

【花まるコラム】『群れで学ぶ』前原匡樹

 オンライン低学年コースでは、事前に作文を書いてきてもらい、授業内でみんなに紹介する「作文発表会」という時間があります。そこでは、先生から「〇〇さんクイズ」と称して、読まれた作文についてのクイズを出し発表会を盛り上げるのですが、先日の授業で、ある子が「先生、今日は自分でクイズまで考えて来たよ!」と嬉しそうに報告してくれました。これまでに自分でクイズを考えてきた子がいなかったので驚いたのですが、その子が「作文をよ~く聞いていたら、絶対に答えがわかるものにしたよ!」と付け足したことにも驚きました。聞き手のことも考えて用意してくるなんて…聞き手の立場で物事を考える姿が素晴らしいですね。

 別の日の作文発表会では、こんな子もいました。同じクラスの子が「恐竜」に関する作文を発表したあと、彼が「先生、付け足してもいいですか?」と言い出したのです。
「いやいや、これあなたの作文じゃないけど…!」と突っ込みたくなりました。ただ、その子の付け足しを聞いていると、また違う考えも浮かんできました。彼は恐竜のことが大好きで、作文を聞いてスイッチが入り、「みんなに教えたい!」と気持ちが高まったのでしょう。画面から顔が見切れるくらい熱く語る彼の話しぶりから、それが伝わってきました。
 彼らの様子を思い返すと、共通した要素があることに気づきました。「その場にいる人を楽しませたい!」という思いで動いている点です。「クイズで楽しませたい」「みんなが知らないことを伝えて楽しませたい」、手法は違いますが、「自分以外の人も『楽しめた!』と思える空間にしたい」と行動できることは、本当に素晴らしいですね。

 「すごいなぁ」と驚く事例だけでなく、一見周りのために動いているように見えなくても、「周りの人に影響を与える」ことにつながるのだなと気づかされることがありました。
 先日の高学年コースで「部首カルタ」という遊びながら部首を学ぶゲームを行ったときのことです。高学年クラスにはカルタを活用して楽しく学ぶ時間がありますが、それまでのカルタでは輝く子が決まっていました。その子たちは、カルタとなると普段の学習以上にたくさん予習をしてきます。その結果、大活躍できるのです。ほかの子どもたちも「〇〇さんはカルタが得意」と認識しているようでした。
 ところが、この日の部首カルタでは、これまでと状況が違いました。入室時から何人もの子が「先生、今日はAちゃんに負けないために、たくさん練習してきたよ!」「Bくんが強いから、勝ちたくて練習してきたよ」と声をかけてきたのです。「カルタが強いあの子に勝ちたい!」という気合いが伝わってきます。
 「周りの人を楽しませる(影響を与える)」ことをねらって、カルタが強い子たちが何かアクションを起こしたかといえば、そうではありません。一人の行動(練習量、強さ)が、周りの心に火をつけたのです。こうなると、次から好循環も期待できます。自分では意識していない行動でも、実は相手の行動に影響を与えることもあるということですね。

 作文発表会での出来事も、カルタでの出来事も、一人で学習をしていては起こりえないことです。同じ年代の子どもたちが同じ時間に集まっているからこそ、お互いに影響を与えたり、ときには相手のために行動を起こせたりするのです。
 「オンラインであっても、みんなで集まっていることに価値がある」そう子どもたちが感じられるような教室運営を心掛けてまいります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

花まる学習会  前原匡樹(2022年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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