わが家の息子は現在3歳で、保育園に通っています。基本的には保育園が大好きで、毎日楽しく通わせてもらっています。しかし、最近モヤモヤする出来事がありました。クラスの先生から「○○くん(うちの息子)、△△くんからガブっと噛まれてしまって、大変申し訳ございません」と話があったのです。どうやら、おもちゃの取り合いが発展して…とのこと。お互い言葉で伝えられず、つい行動が先だってしまうというのは、幼児の世界ではあるあるです。いつもの私なら「そうか、そんなこともあるよな」で済ませてしまうのですが、この日はずっと心の中のモヤモヤが晴れませんでした。なぜなら、△△くんにはこれまでに何回か噛まれたりひっかかれたりしていたからです。その日の息子はいつもより元気がないようにも見えました。その様子を見ていたら、胸が苦しくなってきました。うちの息子にも何か原因があるのでしょう。そうだとしても、そんなにも頻繁に手が出るのはさすがにダメじゃないか…そんなモヤモヤが心にありました。同じトラブルが起きないよう保育園の先生に相談しようか…と考えたところで思いとどまりました。ここで親が介入しすぎてしまったら、息子は自分で人間関係を構築していく感覚を身につけることができない。社会に出たら、人間関係のトラブルなど当たり前。なんとか自分自身で折り合いをつけて、関係を続けていく。この力こそ大事だと思ったからです。(花まるでいつも伝えているメッセージですね。わが子が当事者になると、親はこんなにも慌てたり不安になったりするものなのだなと痛感しました。)
そこで、息子と一緒に「次に噛まれそうになったときの対応」を練習することにしました。噛まれそうになったら、大きな声で「やめて!」と言う。この練習です。「じゃあ、お父さんがかみつくぞ!」「やめて…」「おっ!言えたね。でもさらに大きな声で言えたらいいかもしれない。もう1回言ってごらん」「やめて!!」そんなやりとりを何度か繰り返しました。この方法が正解なのかどうかは、正直わかりません。ただ、きっぱりと意思表示をするということは対人関係においてとても大事だと思っています。実際、「やめて!」の練習をした日からまだ1回も噛みつかれていないようです。
わが子がトラブルに直面したとき、何も感じない親はいないでしょう。心配で必要以上に介入してしまいそうになるのが親心。しかし、親が手助けし続けることはできません。いずれは自分自身の力で社会の荒波を乗り越えないといけないのです。トラブルに出合ったときに、どうやって「自分の力で」乗り越えるのかを一緒に考えること。それが親である私にできることなのだと改めて感じました。明日も笑顔で「いってらっしゃい!」と息子を送り出そうと思います。
花まる学習会 金本卓也(2021年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。