「あっ、そういえば○○先生、髪の毛切りましたよね?」「切ったよ!気づいてくれてありがとう」
つい最近の授業での出来事ですが、少し髪の毛を整えた私の変化にすぐに気がつき、自信に満ちた表情で声をかけてくれた子がいました。また、その声を聞いて「私も気づいてた!」とすかさず合いの手を入れたり、うんうん!と頷いたりする子も。
ほかにも、子どもたち同士のやり取りでこういったことがありました。Yくんのご自宅の通信環境がなかなか整わず、オンライン教室への入退室を繰り返していた日のことでした。挨拶の時間になっても、画面が固まってしまったのか真っ暗で、Yくんの顔が映りません。
その様子に気がつき、「お~い、Y、大丈夫か~?」「Y、映るかな…?」と心配するSくんとAちゃん。無事にYくんの顔が映って動き出したのを確認すると、「よかった~」「やっほ~」と二人とも安心した表情を浮かべました。
また、同日の「なぞぺー」(思考力教材)の時間、ブレイクアウトという機能を使ってチームに分かれて取り組む際のこと。Yくんとは別チームになったSくんが、問題を解きながらぽつりと「Y、いまちゃんとできてるかな~」と話題に出します。それを聞いたKくんも「ね~、できてるといいよね~」と返答します。
私はこの二人の会話を聞いて、とても心が温かくなりました。オンライン上の別空間にいながらも、姿が見えない仲間のことを考え、思いを寄せることができる。子どもたちは自然体ですが、本当に素敵なことだと感じました。
年長クラスでは、“一緒に遊ぶ”姿がよく見られます。「今日もIキューブで迷路を作っちゃうぞ~♪」というAくんのうきうきした声を聞いてパッと顔を上げ、(おそらくAくんの作りはじめた様子を少し眺めてから)自分の手元でも楽しそうに迷路を作りはじめたSくん。その後は、画面越しでお互いの完成した迷路に一生懸命挑戦します。子どもたちが「ゴールできましたか?」「…うんっ!」「お~おめでとうございます~!!」と嬉しそうに会話を交わす姿を見ていると、思わず頬が綻んでしまいます。
オンライン教室では、子どもたちや先生の顔が常に正面を向いており、そこに名前も表示されています。子どもたちにとっては、友達の顔と名前を憶えやすい環境でしょう。そして、私の些細な髪型の変化だったり仲間の様子に気づいて行動に移したりできるのは、普段から関心をもって、画面越しの仲間たちを認知している証だと感じました。
昨年度の9月に、教室に集まれなくても子どもたち同士が積極的にかかわり合うことができるように、と花まるオンライン教室を開講しました。オンライン教室だからこそできることや、子どもたちがこの先、教室を通して出会える人の数は限りのないものだと思っています。今後も、すべての子どもたちが“人と人とのつながり”の温かさを肌で感じ、切磋琢磨できる教室をつくってまいります。
花まる学習会 伊藤真衣(2021年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。