もうすぐ花まる漢字テストですね。前回、96点以上の「特待合格」だった2年生のRくん。受検級案内を受け取ると目をキラリとさせ「オレ、まえ特待だったから次も特待とる!」と作文に書きました。一方、5年生のAさん。前回の花漢では、96点以上を目標に掲げていたのですが、残念ながら84点でした。今回の受検級案内を受け取り、書き込んだ目標は98点。そして、弱点の「音訓の区別」に重きを置いた学習計画を立てました。「次は特待とります」その目は本気です。
さて、自信には2種類あると言われているのをご存じですか。
1つ目は、「結果予期」の自信です。いい結果を得られた自分に対する自信で、「花漢に合格した!次も合格できるだろう」とか、「マラソン大会で2位になった!来年は優勝できるだろう」といったことです。一般的に言う「自信」は、この結果予期の自信を指すことが多いかもしれません。
2つ目は、「効力予期」の自信です。これは、自分ができたこと、継続していることを通じて「私は、必要な行動を起こすことができる」という確信のことを指します。たとえば、「花まる漢字テストで90点以上を取りたいから、毎日漢字練習をしよう。あさがお・サボテンを毎日やってきたから、できるぞ!」というようなことです。
結果予期の自信は、いわば、「勝って得られる」ものです。一方で、効力予期は「これからの行動」を起こせるかどうかにかかわる自信で、結果にかかわらず、その人を支えます。2種類の自信は両方必要で、大事にしたいもの。ただ、自分でコントロールしていけるのは「効力予期」の自信のほうです。「結果」に「絶対」はなく、前にうまくいったからといって、次も同じ結果を得られるとは限らないからです。
うまくいくかわからない…そんなときにも、「効力予期」の自信が育まれていれば、まずは行動して目標に近づく努力ができますね。冒頭の5年生Aさんは、この効力予期の自信を持ち合わせていたということになります。
「効力予期」の自信は、周囲の大人の声かけで、低学年期であっても育むことができます。キーワードは ①行動の言語化 ②価値の言語化 ③うまくいった姿を見せる です。
たとえば、野球を習っていて、試合のスタメンになりたいと頑張っている子がいたとしましょう。
①行動の言語化
…「毎日野球日誌をつけているね」「素振りの練習を続けているね」など、(おうちの方のサポートがあったとしても)できていること、やれていることを言葉にしてみてください。
②価値の言語化
…「大事なことは、力をつけるための行動を自分で取れていること」「それは、野球だけでない他のことへの挑戦にも活きてくるんだよ」といったように、①のもつ価値を言葉にすることで、子どもは自分のやっていることの意味に気づくことができます。
③うまくいった姿を見せる
…野球でなくても構いません。目標を決め、そこに向かって継続し、達成する姿を見せると、代理経験となり、「わたしも頑張ろう!」という意欲につながります。(花漢を例にあげると、おうちの方も準2級や2級に向けて毎日一緒に練習するというご家庭もあるんですよ)
最後に、去年卒業した6年生Kくんのエピソードを。彼は思考力には優れていたものの、漢字練習の詰めが甘く、花漢で点数を取りきれないことが課題でした。それまでずっと(本当にずっと!!)「漢字は大事、漢字は大事」とおうちの方や私に言われてきたわけです。変化したのは、6年生になってからでした。最終学年の自覚が出てきて、漢字についてもその重要性を自ら感じるようになったそうです。通常1か月前のところを2か月前から花漢に向けて学習するようになり、6年生の花漢は、すべて合格しました。
花まる卒業の日。「後輩に向けての言葉をお願い」と伝えたら、Kくんはこう言いました。「僕が一番大事だったなと思うのはサボテンです。面倒臭くてさぼったこともありました。でも、ちゃんと毎日やると、さぼったときと解くスピードが全然違いました。花漢練習も、毎日サボテンやってたから頑張れました。1日1ページ頑張ってください」
Kくんの花漢学習を支えた効力予期の自信。その源はサボテンだったのです。
花まる学習会 竹谷和(2021年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員のみなさまにお渡ししています。