【教室スケッチ】手で絵を描く 大人が一緒に

【教室スケッチ】手で絵を描く 大人が一緒に

年中授業の思考実験「手で絵を描こう」。

たまごパックに4種類の絵の具を入れ、水も用意。 
自分の机の上で、自分だけの紙に書いていく。模造紙も机のサイズに合わせてカットし、大きく描けるよう準備。

ところが…
私が絵の具を使わずに黒板を使って「こんな感じ!」と見せてスタートしたのだが、
たまごパックから少し手の先につけてちょんちょんと大きな紙の端っこに色を付けるだけ。
明らかに手全体に色を付けることをためらっている。
あんまり汚したくないな…というつぶやきも聞こえてくる。

最初の5分間、私はどんなふうに子どもたちが絵を描くか、見守るスタンスでいた。
その間、子どもたちはどこかこわばったような表情で恐る恐る絵を描いていた。

そこで、スタンスを変えてみた。
「なんか先生もやってみたくなっちゃったな~!」
予備として用意しておいた絵の具セットと大きな模造紙を机の上に出し、一緒にやってみた。絵の具の感覚、手の上にさまざまな色が混ざり合っているのを実況しながら楽しむ姿を見せる。

その瞬間、1人がまったく同じことをやり始めた。「うわ~!何この色~!」「お~!きれ~い!」他の子も興味津々に虹色になったAさんの手と模造紙をのぞき込む。

そこからは、没頭タイム。
腕までカラフルになった子どもたち。つめの先を使ってみたり、手の甲を使ってみたり…。
その子にしか表現できない世界に1枚の絵が作られていた。

初めてやること、普段やらないこと。勇気がいるのだろう。やっていいのかな…という不安もあったのかもしれない。

そんな中で大人が本気で楽しむ姿を見せる。見守るのではなく一緒に感動しあう。
そうすることで子どもたちを覆っている「不安・迷い」も突き破ることができ、本来の姿が見えてくることもある。

年中授業では特に一緒になって楽しむ姿を見せ続けていきたい。

~教室レポートより~ 

by Shunpei Kobayashi

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