【教室スケッチ】自分の感情を共感してほしい子どもの心

【教室スケッチ】自分の感情を共感してほしい子どもの心

高学年の授業中、「虹が出ていますよー!」という声が上がった。
子どもたちと一緒に見に行くと、非常に綺麗な二重の虹が出ていた。

子どもたちからは様々な声が挙がる。
その中で、
「コメディ、急いでお父さんとお母さんに連絡してください!」
と5年生の女子に言われた。

理由を聞いてみると、
「お父さんとお母さんにも見せてあげたい」とのことだった。

野外体験の現場でも、
「お父さん、お母さんにも見せてあげたいな」
という言葉をよく聞く。

たとえば、雪国スクールに参加した子が初めてリフトに乗り、リフト上からの景色を見たときや、サマースクールで満天の星空を見たときなど。
決まって出てくる人物は、お父さんやお母さん。

よく年長~2年生くらいの子どもたちから「先生、あのね…」と様々なことを教えてくれるときがある。
実感として、その話は悩み相談でもなんでもない。
本当に何気ない話。

以前は、そういった話に結論や解決策などを提示していたことを思い出す。
「そのときには、こうした方がいいよ」
「それはこうだと思うよ」
などと伝えていた。

すると、翌週以降、私にはそういった話をしてこなくなった。

その子たちは、近くにいる講師などに同じ内容を話すようになっていた。
一緒にその子の感情に共感し、話を掘り下げていく。

話を聞いて、一緒に共感してほしい。
同じものを見て、同じものを聞いて、一緒に泣いたり、笑ったりしてくれる関係を望んでいるのだと思う。

公園などで転んだ子を見ていると、それに対してお母さんは「痛かったね」と共感していた。
転んだ子は、すりむいた膝を気にしているものの、立ち上がる。

子どもたちにとって、そばにいる大人は、自分のことを自分のことのように一緒に笑ったり、泣いたりしてほしい存在なのだ。
それが子どもにとっては愛情に感じるのだと思う。
だからこそ、一緒に共感したいと思う気持ちが生まれる。

自分の喜びは、誰かの喜びであると感じられる心。
それはたっぷりと愛されてきた証拠なのだと感じる。
わが子の幸せを思う親心。
そしてそれに応えるように、子も親を思うからこその「一緒に」と思う気持ち。

改めて「一緒に」という言葉については考え続けていきたいと感じる出来事だった。

〜教室レポートより〜

by Ryota Ogawa

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