【今月のお悩み 小2女子のママより 】
はじめての場所や挑戦に不安を抱きがちです。親はどんなサポートができるでしょうか。
初めての場所や人、体験などに強い不安を感じる子がいます。習い事の体験教室に行っても泣いてしまったり、挑戦する前に気持ちがいっぱいいっぱいになってしまったり……。親として「無理はさせたくないけれど、背中を押すならばどのタイミングがいいのだろう」と悩ましく感じることもあるでしょう。
ここでは、不安を抱えやすい子にどのように寄り添い、「やりたいことに挑戦できる力」を育てていくかを考えてみます。
■不安は自分を守る大切な感情
不安は決して悪いものではありません。未知のことやコントロールできない出来事が起こりそうなとき、心が「気をつけて」と警告しているのです。テスト前に不安を感じて準備をしようと思えるように、不安は本来、自分を守り、将来に備えるためのエネルギーでもあります。また、未来に向けた想像力があるからこそ、ちゃんと振る舞いたいという責任感があるからこそ、不安を抱きやすくなります。
ただし、不安が強すぎると、着手できない、体が動かない、泣いてしまうといった「フリーズ状態」になりやすく、「逃げる」「無謀なことをする」などと極端な行動を起こす場合もあります。また、「トイレに頻回に行く」「食事が喉を通らない」「怖くて眠れない」など、体からのSOSが行動にあらわれるケースもあります。そのため、不安であることを認めつつ「どう付き合うか」を一緒に考えることが大切です。
■「不安を感じてもきっとやりたいことができる」と信じる力を育てる
不安が強い子へのサポートで大切なのは、「不安を感じても大丈夫」「怖くても自分はできる」と信じる力を育てることです。親がかける言葉はとても大きな支えになります。
・「それは不安だよね。でも、きっとできるよ」
・「怖いと思うけれど、前にも頑張れたよね」
・「不安に思っていることが本当に起きる可能性は低いかもしれないね」
といった言葉は、不安を受け止めつつ、それを乗り越えてやりたいことに挑戦する勇気に気づかせてくれます。
■挑戦する姿勢を褒める
日本人は、まじめさや几帳面さを褒めることが多いですが、「挑戦する気持ち」「勇敢な気持ち」「立ち向かおうとする気持ち」「自分を奮い立たせたこと」を褒めることは少ないように思います。
お子さんの不安が強いと感じたら、「勇気を出したこと」を意識して褒めるのがポイントです。
・「挑戦してすごいね」
・「勇気を出せたね」
・「結果よりも、やってみようと取り組んだことが素敵だよ」
こうした声かけで、「やってみることが大事」「失敗からも学べる」という価値観を少しずつ伝えていきましょう。
■少しずつ慣れるステップをつくる
不安に立ち向かうコツは、「いきなり大きな挑戦」をするのではなく「小さな一歩」から始めることです。
・習い事の会場の前まで行ってみる
・会場に入って5分だけ見学する
・親と一緒に最初の挨拶だけしてみる
こうした段階を踏むことで、小さな成功体験が積み重なり、「自分は大丈夫」という自己信頼が高まります。ここで重要なのは、最初のハードルは低く設定し、成功するようにすることです。「10分いられそう」と親が思ったとしても「5分いるようにしてみよう」と伝え、「5分いられたね!」と肯定しましょう。
また、親が一緒に行ったときも、「次は一人でできそうだね!」と伝えておくことが大切です。親がいても、「自分一人でもできそうだ!」と思えることが重要です。
お子さんが「やりたいことをやれるようになる」ためには、不安をなくすのではなく「不安と付き合いながら挑戦できる力」を育てることが目標です。親が安心の基地となり、少しずつ背中を押すことで、お子さんは不安を抱えながらも前に進む力を身につけていけます。
蟹江 絢子(かにえ あやこ)
東京の大学病院にて児童精神科医として臨床に携わる傍ら、妊産婦やアスリート、神経発達症、精神疾患を対象とした認知行動療法の研究を行う。VRやアプリを活用した認知行動療法のプロダクト開発にも取り組み、精神医学・心理学の啓蒙活動を一般の方や教育業界向けに展開。二児の母としての経験も活かし、親としての目線で日々の生活や子育てに役立つ情報を発信中。
※花まるだより2026年4月号掲載