【Dr.カニーのおうちメンタルケア】『まわりの大人や友達の顔色をうかがってしまいます』蟹江 絢子 2026年2月

【Dr.カニーのおうちメンタルケア】『まわりの大人や友達の顔色をうかがってしまいます』蟹江 絢子 2026年2月

今月のお悩み 小5女子のママより
遠慮がちで、まわりの大人や友達の顔色をうかがってしまいます。
気配りができるのは長所と思いつつ、気を遣いすぎて自分の気持ちに嘘をついているのでは……と心配です。
早めにバランスをとれるようになってほしいので、いまできることを教えてください。

「相手も大事、自分も大事」ができるようになるために
小学校高学年になると、自分中心ではなく、周囲から見られている自分を意識できるようになります。
それに伴い、
✅相手に合わせすぎる
✅大人や友達の顔色をうかがって言いたいことが言えない
という子が増えてきます。
相手の気持ちを敏感に察する、気配りができるというのは、とても素敵な長所です。
でも、いつも自分の気持ちをあと回しにしてしまうと、だんだん苦しくなってきたり、自分が何をしたいのかわからなくなってしまうことがあります。ここでは、「相手も大切にしながら、自分の気持ちも大切にする」ためのサポート方法をご紹介します。

なぜ顔色をうかがってしまうのか、理由を一緒に考える
遠慮がちな子の心のなかには、こんな思いがあることが多いです。 
✅嫌われたくない
✅迷惑をかけたくない
✅期待に応えたい
✅みんなと同じでいたい、浮きたくない
まずは子どもに、「合わせていることが多いように思うけれど、どんな感じかな?」と聞いてみましょう。
もし難しそうなら、
「もし自分の気持ちを言ったら、どんなことが起きそう?」
と、少し具体的に聞いてみるのもおすすめです。何が一番気になっているのかがわかると、親も子も対処しやすくなります。

日記や会話で「自分の気持ち」に気づく練習を
子ども自身の意見がないから周囲と同じ意見に同調している、ということもあります。
そこでおすすめなのが、
✅今日うれしかったこと
✅ちょっとイヤだったこと
✅モヤっとしたこと
を、日記や会話で言葉にすることです。
書くのが苦手なら、「今日はどんな気分だった?」と子どもにたずねてみるだけでもOK。
自分の気持ちに気づけるようになると、
「自分はどうしたいか」も少しずつ考えられるようになっていきます。

安心できる場で「言っても大丈夫」を体験する
いきなり学校で自己主張するのはハードルが高いので、まずはご家庭で練習するのがポイントです。
✅意見を言えたら「伝えてくれてありがとう」と伝える
✅親と意見が違っても「違う意見だってわかってよかったね」と受け止める
「言っても大丈夫だった」という経験が、少しずつ自信になります。

やさしく断る NOの言い方”を教える
いつも合わせている子が急に断ると、まわりがびっくりしてしまうこともあります。
だからこそ、断り方のコツを知っておくと安心です。
 この3つのステップで伝えることが大事!
 ①相手の気持ちに触れる
 ②自分の事情を伝える
 ③代わりの提案をする
例:「誘ってくれてうれしい。でも今日はすでに用事があるの。今度また誘ってね」
心理学では「アサーション(相手も自分も大切にする伝え方)」と呼ばれます。
ポイントを確認しながら、ロールプレイで一緒に練習してみるのもおすすめです。

親が“自分の気持ちを伝える姿”を見せる
子どもは、親の姿からたくさん学びます。
✅「今日は疲れてるから少し休むね」
✅「それはできないけれど、ここまでならできるよ」
こんなふうに、無理せず気持ちを伝える姿を見せることも、お手本になります。
「がまんし続けなくてもいいんだ」と、子どもは感じとっていきます。

最後に
気配りができることは、その子の大切な強みです。
目指したいのは、
「相手の気持ちも大事にしながら、自分の気持ちも大事にできるバランス」。
少しずつで大丈夫です。
家庭という安心できる場所で練習を重ねていくことが、学校やほかの場所での人間関係にもきっとつながっていきます。


蟹江 絢子(かにえ あやこ)

東京の大学病院にて児童精神科医として臨床に携わる傍ら、妊産婦やアスリート、神経発達症、精神疾患を対象とした認知行動療法の研究を行う。VRやアプリを活用した認知行動療法のプロダクト開発にも取り組み、精神医学・心理学の啓蒙活動を一般の方や教育業界向けに展開。二児の母としての経験も活かし、親としての目線で日々の生活や子育てに役立つ情報を発信中。

※花まるだより2026年2月号掲載

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