【今月のお悩み 小4男子のママより 】
どうやらまわりの子に比べて人の気持ちがわからないようです。
国語の読解問題や道徳の授業で、質問に対してとんちんかんな答えを言ってしまい、先生がフォローする……という場面が多いと面談で言われました。
なにか対策はあるでしょうか。
人の気持ちがわからないときのサポート
「国語の読解問題や道徳の時間に、とんちんかんな答えをしてしまう」と先生から指摘されると、親としては心配になりますよね。実は、こうしたケースにはサポートする方法があります。
社会認知・心の理論の未熟さが背景にあるかも
人の考えや感情、その行動の意図を理解する力を「社会認知」や「心の理論」と呼びます。
これがまだ発達の途上にあると、人の気持ちを読み取るのが難しくなります。
たとえば国語の読解で「主人公はどんな気持ちでしたか?」と問われたとき、本来は「主人公の視点」で答える必要がありますが、自分自身の視点を反映してしまうと、答えがずれてしまうことがあります。
また、文章全体を見ずに一部だけで判断してしまうと、「とんちんかん」に聞こえる答えになる傾向があります。
道徳の場面では「一般的なルールや社会の常識」を問われているのに、個別の具体例やユニークすぎる解釈を答えてしまうこともあります。
社会認知を鍛える工夫
対策としては「対人関係において人の頭のなかで起こっていることを、外に見える形にする」ことが効果的です。
✅ 対応場面をイラストにしたうえで、人物のイラストに吹き出しをつけて「頭のなかで考えていること」「感情」「実際に言ったセリフ」を書き出して整理する
✅ 一般常識や社会のルールも、あらためて言葉で解説して伝える
✅ ルールを教えるときは「例外」も一緒に説明して納得感を持たせる
こうした工夫で、理屈を学んだり、紙面に書き出したものを実際に見たりすることによって、理解が進み、腑に落ちやすくなります。
また小説の読解を練習する際には、「感情の事典」のような教材を用いて、喜び・悲しみ・怒り・恐怖・嫌悪・驚きといった基本感情を、表情や声、しぐさと結びつけて学んで、感情を表す言葉がどの基本感情に分類されるかを理解すると効果的です。
物語を読むときに感情を表現している言葉があったら、線を引く習慣をつけるのもよい方法です。
また、その感情の移り変わりに注目してみるというのも大事です。
説明文の読解では、「しかし」「また」「だから」「ところが」など接続詞を手がかりに、文章の流れや構造を意識して読む練習が役立ちます。
一つのことだけで判断するのではなく、複数の手がかりを探して、総合的に考えてどうかという視点に立てるようにします。
「直感」よりも「理論」で学ぶ
人の気持ちを直感的に察することが苦手な子は、理論的に理解し、複数のパターンを覚えていくことで対応力を伸ばしていけます。
その苦手さを理解してくれる大人がかみくだいて解説してあげると、その力はぐんと伸びやすいのです。
ある程度「気持ちの理解」ができるようになってきたら、実際の経験を積むことが次のステップです。
友達や先生とのやりとりを通して学ぶことで、実生活に生かせる力へとつながっていきます。
鍛えれば伸びる
まとめると、人の気持ちを理解する力は、周囲の大人が理解し解説してあげることで飛躍的に伸ばすことができます。ある程度、人の気持ちがわかるようになった段階で、友達や先生とやりとりする経験をたくさん積ませてあげたいものです。
蟹江 絢子(かにえ あやこ)
東京の大学病院にて児童精神科医として臨床に携わる傍ら、妊産婦やアスリート、神経発達症、精神疾患を対象とした認知行動療法の研究を行う。VRやアプリを活用した認知行動療法のプロダクト開発にも取り組み、精神医学・心理学の啓蒙活動を一般の方や教育業界向けに展開。二児の母としての経験も活かし、親としての目線で日々の生活や子育てに役立つ情報を発信中。