【今月のお悩み 小5男子のママより 】
誰かにもらったお金(臨時収入)で友達にお菓子やジュースをおごったり、その逆だったり……ということが増えました。しかも「親にはナイショ」とされてしまうと把握できず困っています。叱られるとわかっているのにやってしまう心理は理解できるのですが、それが見えないところで続いていくといつかトラブルになりそうで怖いです。特に金銭が絡むものはお友達の親御さんとの関係にもかかわるので、どのような伝え方がいいか教えてください。
「友達とのお金のやりとり」をどう見守るか
小学校高学年になると、友達とのかかわりのなかでおごったりおごられたりといったお金のやりとりが出てきます。また、親に内緒にすることも上手になっていきます。仲間関係や健全な金銭感覚を育てるために、どのような声かけや話し合いがよいのかのヒントをお届けします。
子どもにとって仲間関係は自己理解や他者理解を深める大切な場です。「一切禁止」とするのではなく、試行錯誤させつつ、未熟な部分を親が補い、時代や年代に合ったルールを設定することが大切です。
「内緒」にできるのも成長
子どもが嘘をついたり秘密をもったりすると親は不安になりますが、「嘘をつける」「秘密を守れる」のは発達の証です。嘘をつくには「相手が何を知っていて、何を知らないのか」を理解する"心の理論”が必要で、それに基づいて工夫する必要があります。内緒にできるということは「自分や仲間の世界」と「親や大人の世界」を区別し、「言わないと決めたことを守り抜ける」という成長の表れでもあります。確かに親から「叱られないように」といった知恵が働いている場合もあります。
今回は、トラブルに発展しそうで心配ということですが、おおらかに構えていい場合は「あ、この子も秘密をもてるようになったんだな」という気持ちで見守っていいと思います。
「お金のやりとり」について話す
親としては、お金のやりとりがあったら報告してもらえるように伝えることが大切です。たとえば、
✅ 「おごったとき、どんな状況だったの?」
✅ 「おごられたときはどうだった?」
交互だったり小さなごほうび程度なら問題ないかもしれませんが、高額だったり片方ばかりが負担している場合は不公平感が生じます。さらに相手の親が状況を把握しているかどうかも重要です。低学年では全面禁止にする家庭が多いようですが、高学年になると家庭によって考え方が分かれます。だからこそ、親として「お金のやりとりは大人でもトラブルになりやすいから、どのような状況だったのか話をしてほしい」と伝えておくといいでしょう。
「お金のルール」をどう決めるか
もし禁止にしたい場合は「お金のやりとりはなし」と家庭のルールを明確にしましょう。そのうえで相手の親とも話し合い、必要なら返金するなど対応を決めておくと安心です。
相手の親とお金のことについて話し合えないのに、そして子どもがお金のやりとりをしていることを知っているのに、「お金のやりとりは禁止」と言ってしまうのは、子どもがますます親に報告しなくなったり、トラブルがおきたあとも一人で抱え込んでしまったりする原因にもなります。また、思春期は、親の言うことを聞くべきか、仲間関係を大切にするべきかと葛藤しながら、すべて親の言うことを聞くのではなく、自分の意見をもっていく時期です。そのときに、親は「お金のやりとりは禁止」と言っていて、仲間と子どもは「お金のやりとりをしたい」と思っている場合、さらなる葛藤を生むことになります。
試行錯誤しながら取り組む
金銭感覚は子どもの発達段階や時代背景によっても変わります。報告を促しつつ見守る、相手の親と連携してルールを決める、うまくいかなければ修正する。そんな柔軟なかかわりが重要ではないかと思います。
蟹江 絢子(かにえ あやこ)
東京の大学病院にて児童精神科医として臨床に携わる傍ら、妊産婦やアスリート、神経発達症、精神疾患を対象とした認知行動療法の研究を行う。VRやアプリを活用した認知行動療法のプロダクト開発にも取り組み、精神医学・心理学の啓蒙活動を一般の方や教育業界向けに展開。二児の母としての経験も活かし、親としての目線で日々の生活や子育てに役立つ情報を発信中。
※花まるだより2025年11月号掲載