今どうしてる?卒業生物語 【No.39】山口春樹さん

今どうしてる?卒業生物語 【No.39】山口春樹さん

花まる学習会・スクールFC卒業生のその後に迫ります。
第39弾は、作文特訓で言葉の力に磨きをかけた、伝説の卒業生にインタビュー!   

ようこそ先輩!  山口春樹さん
【花まる学習会】小2~小6 
【スクールFC】小4〜小5
*担当教室長:箕浦健治、松島伸浩 ほか  
【進路】佼成学園中学校・高等学校→筑波大学
【現在】大学生

 

 

■花まるの思い出
箕浦 印象に残っている花まるの教材はありますか?
山口 たこマンです。みんなのアイデアを聞くのも、自分で考えるのもすごくおもしろかったです。
箕浦 あの頃はまだ、たこマンを毎回の授業ではやっていなかったかな。
山口 最初は特別授業でしかできないゲームだったと思います。本当に大好きで、いつも心待ちにしていました。
箕浦 “正解”のないものを考えることを楽しめていたんだね。
山口 なぞぺーも好きでした。しっかり数学の要素があるのに、遊び感覚で取り組めました。
箕浦 野外体験は覚えている?
山口 「ファイヤーと行くサマースクール」に参加しました。海で思いっきり遊んで、海の家でみんなで寝て……本当に楽しかったです。雪国スクールでは、帰りに大雪でバスが動かなくなるトラブルもありました。ハプニングを乗り越えて電車で帰ったのもいい思い出です。
箕浦 よく覚えているなぁ。あのとき、湯沢の宿の方々がみんなのためにおにぎりを作ってくださったね。

 

 

■作文特訓の日々
山口 もう一つ強く印象に残っているのは、小学5年生の一年間、健治先生(箕浦)に徹底的に作文指導をしていただいたことです。
箕浦 本当によく頑張ったよな。
山口 健治先生が根気強く教えてくださったおかげで、作文コンテストで学年優秀賞をいただくことができました。
箕浦 春樹の作文は決して下手ではなかったんだけれど、どこかタスクとしてこなしていたというか……目に見えることや感じたことの描写だけでなく、読み手の心に届く深みがもう一歩ほしかった。入塾後、最初にお母さまからいただいた相談もそこだったんだよ。
山口 私は幼い頃から自信過剰なところがあるので(笑)、作文にも苦手意識はなく、うまく書けているつもりでした。だからなぜ作文コンテストで賞をとれないのかわからなくて悔しかったんです。健治先生が「自分と向き合って書いてごらん」と言い続けてくださって、少しずつ内面を書けるようになりました。
箕浦 模範解答を書こうとしていた春樹が、本気で自分の心に向き合うようになったんだね。
山口 健治先生が教えてくださった「そのとき自分は何を思ったのか、そこから何を学んだのか」と向き合うことは、大学受験にも就職活動にも活きました。文章力への自信だけでなく、自分を表現するあらゆる場面で必要な土台を築くことができました。
箕浦 春樹にとって花まるは、どんな場所だった?
山口 “素直でいられる場所”でした。花まるの先生方はみなさんいつも本気で、心から楽しそうで。だから高学年になっても「本気になるなんてダサい」と思わずに全力で楽しめました。何事にも素直に、本気で向き合うことは、人生を切り拓くうえでとても大切だと思います。
箕浦 本当に嬉しいよ。

■ご家族のこと
箕浦 春樹は一人っ子並みに自己肯定感が高いよね。下にきょうだいがいるように見えなかったなぁ。
山口 祖父母の愛情のおかげだと思います。
箕浦 なるほど。愛に飢えていないというか、すれていなくて、気分でブレない心の強さもあった。春樹の素直さと本気で向き合う姿勢はいつもまわりにいい影響を与えていたよ。春樹のお父さんはどんな人ですか?
山口 憧れの存在です。小学2年生のときに初めてテレビマンとして働いている父の姿を見て「テレビディレクターになりたい」と思いました。それからずっと父の背中を追い続けています。父にはよく「本を読め」と言われ、小学生までは本の虫でした。中学生頃から音楽にハマって本からは遠のいてしまいましたが……(笑)。実は僕の名前は、父が大好きな村上春樹さんからとったのだそうです。
箕浦 素敵だなぁ。私も村上春樹さんの作品にはすごく影響を受けているよ。お母さんはどんな人?
山口 母は子どものことを第一に考えてくれる人です。花まるを知って通わせてくれたこともそうですが、私一人では見つけられない世界を母がたくさん見せてくれたおかげで、楽しそうなことにどんどん飛び込むことができました。母はいつも「自分がやると決めたことはちゃんとやりなさい」と言い、私がサボるたびに叱ってくれました。サボり癖のある私がここまでやってこれたのは間違いなく母のおかげです。私の両親は、私がやりたいことを否定せず「それを達成するにはこんなことをしておくのがいいのでは」と一緒に考えて提案してくれました。
箕浦 ご両親は春樹のことを心配しながらも、否定せずにサポートし続けてくださったんだね。

■学生時代のこと
箕浦 春樹はバンドをやっているんだよね。
山口 はい。中学2年生のとき、屋根裏部屋で父のギターを見つけたのがきっかけでした。 小学6年生の頃からBUMP OF CHICKENの曲が好きでよく聴いていたので、見つけたギターで独学で練習するようになりました。中学3年生のときに数学の先生がメンバーを集めてバンドを組もうと声をかけてくださり、文化祭で初めてステージに立ちました。高校では本当に音楽が好きな気の合う仲間と出会いましたが、コロナ禍でライブができず、ひたすらギターを練習しました。そしてようやく開催できた文化祭では、写真や映像が得意な友達も協力してくれて、大盛り上がりのライブができました。そういう仲間に出会って切磋琢磨できたのも、花まるでの日々のおかげだと思います。
箕浦 嬉しいなぁ。春樹はもともとベースがあった子だけれど、花まるの授業や野外体験を通して魅力を磨いて、中学・高校と花を咲かせたんだね。
山口 私は勉学でものすごく成功しているわけではなくて、発表や文章で乗り越えてきたことも多いのですが、その土台はやはり花まるにあったなと思います。どんなことも一生懸命やったほうがかっこいいし楽しいと思えていたので、自分から声をかけてさまざまなことを提案し挑戦することができました。
箕浦 それが春樹の魅力だよ。本気は伝わるし、やる気のない人には人がついてこないから。あと伸びしてさまざまな場所で活躍している卒業生たちは、やっぱり湧き出るエネルギーで本気でやれる子なんだよな。これからも楽しみだよ。応援しています!
山口 ありがとうございます!

  

▼作文コンテストで学年優秀賞に輝いた、当時小学5年生の山口さんの作品

「くやしさという味方」

五年 山口 春樹



 緊張して手がふるえる。一番最初はぼくだ。この楽器は曲の心臓と言われている。手がふるえていて、上手くたたけない。
「始めてください。」
という声を聞いて、ぼくはふるえる手でバチをにぎった。今までがんばって練習してきたから自信はある。でも一番最初というプレッシャーはきつかった。だが、たたき始めると、いつもと同じ快感が体中に走った。曲のリズムもつかめた。順調だ。しかし、曲の終わりの難しい部分で足をすべらせてしまい、リズムが乱れて失敗してしまった。一日中その失敗は体につきまとった。ゆうれいにでもとりつかれて、頭の中をを支配されているみたいだった。授業中も失敗のことしか考えられなかった。放課後、音楽室に結果が貼り出された。ぼくは見たくなかった。悪魔がささやいた。
「どうせお前は失格だ。見ないで帰っちまえ」
天使がささやいた。
「だめだったとしても、がんばって練習したんだから、見にいきなよ。」
ぼくは天使にしたがって、結果を見に行った。ドラムに選ばれたのは、他のクラスの女子だった。ぼくは帰り道、道をつぶすように歩いた。本当にくやしかった。だから、今新たなこの楽器を一生懸命練習している。もう失敗するというくやしい思いはしたくなかった。この楽器をやっている男子はぼく以外に一人しかいなかった。ある男子に、
「おまえら本当にそれできるのかよ。」
と言われた。でもぼくは気にしなかった。休み時間や放課後も先生にお願いしてレッスンをしてもらいました。そして何週間も練習しました。ある日、学年全体で合同練習会があった。オーディションの時と同じくらい緊張していて、手がふるえていた。もしみんなの前でまちがえたら、みんなの笑い物だ。でもぼくは練習通りにひけた。自分でもびっくりするぐらい上手にひけた。曲が終わったぼくの心の中は、百パーセント喜びだった。
 ぼくは、あの時の失敗を連合音楽会で成功に変えてみせる。このアコーディオンで。



【Rinより(評)】
震えながらも「快感が体中に走」るが失敗。悪魔と天使がささやく場面をへて、終わり方も気持ちがいい。 失敗を、悔しい思いを、絶対に成功体験に変えてやるのだ、という春樹くんの強い思いが貫かれています。 これほどまでに懸命になれる何かを持っているということ自体が素晴らしい。生きていくときの支えとなる、人生の原体験を、ここで得ているはずなのです。


(2015年度 花まる学習会 作文コンテスト集より)

  

 

 

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