夫婦ともども花まる学習会に勤務しているわが家。妻は産休・育休を経て時短勤務で職場復帰をしていますが、本人が一番やりたいことは授業。ただ、授業は夜まであるので現場への復帰は我慢してもらっていました。それが良い形で調整でき、この4月から教室長としても復帰。妻が教室の日は、保育園へのお迎え→夕食→入浴→寝かしつけと、夕方以降は子ども二人を私が見ます。
妻が教室へ復帰する初日。そわそわともワクワクともいえる気持ちでいました。担任の先生が出張で不在になるような、もしくは部活動で監督がいない日のような。今日はパパが楽しく平和に決めてやるぜ、とちょっと浮かれ気分で17時頃に保育園へお迎えに行きました。遊びたい盛りの3歳の娘は案の定「公園へ行きたい!」と言うので1歳の息子も連れて公園へ。ひとしきり遊んで「さて帰ろうか」というタイミングで「水遊びをしたい」と言いはじめます。「じゃあ今日はごはんの前にお風呂に入ろう! お風呂で水遊びしよう!」と提案。「帰ってお風呂で遊ぶ!」と、駄々をこねることなく帰宅。そのまま砂場遊びセットのじょうろを両手に弟と嬉々として風呂場へ。いつも発生する「もう暗くなるから家に帰るよ」「まだ明るい。まだ遊ぶ」とか「お風呂入るよ」「まだ遊ぶ。あとで」などといった、親からすれば不毛と言いたくなるやりとりが一切なく帰宅から入浴まで終わったことに気持ち良さを覚えました。
18時半の時点で、あとはごはんを食べて歯を磨くだけ。お風呂で水遊びができた二人は上機嫌で夕食も気持ちよく食べ終え、息子は遊び疲れたのか19時半前には自ら寝室へ行きすぐに寝息を立て、娘も20時頃には眠りにつきました。
その後、妻から「大丈夫だった? 二人とも寝た?」とLINEがきました。「何も問題なく、二人とも20時には寝たよ」と返しました。「何も問題なく」には、安心させ今後も気兼ねなく外に出ていいよ、という思いが大半。でも、とてもスムーズに就寝まで進んだことを誇らしげに思うところもありました。
そんな調子で2週目、3週目と進んだ頃、二つの出来事がありました。一つ目は妻の本心を知ったこと。
「いや、すごい! でもね、少し複雑になる……。『ちょっとは苦労しろよ!』みたいな、黒い気持ちがある(笑) というか、3歳と1歳になったいまは比較的落ち着いているからスムーズにいっただけ。ちょっと前はイヤイヤ期だったしもうちょっと大変だったよ? もうちょっと経てば、息子はイヤイヤ期だし、絶対めっちゃ大変になるからね!」と言われました。これまた子育てのリアルをわかっていなかったと反省しつつ、これからは「今日は全然ごはんを食べなくてイライラしてしまった」「寝かしつけるのが21時になってしまった」とでも言おうかな、噓も方便だな、なんて調子に乗った考えも浮かびました。
しかしそんな考えはすぐに二つ目の出来事によってかき消されました。
ちょうどその週、妻が夕方以降いない日が二日続きました。二日目の夕方、こちらの提案に一切乗ってこない娘。結局18時頃まで公園で遊び、帰って夕食を食べていると「これ食べたくない」のオンパレードに「もうお腹いっぱい。デザート食べたい」という言葉まで。こちらが何を言っても聞こえていないふりをし、自分の主張だけ訴えてきます。15分、20分と一向に食事が進まない状態に「もう勝手にすれば。一人でお風呂に入って一人で寝て」という言葉がごく自然に出てきました。が、ハッ! としました。「うわ、これ妻がよく言っているやつ……。『ごはんをテキパキ食べないぐらいでそんなにイラつかなくても』って思っているやつ……」
大いに反省。週一回、数回うまくいっただけで調子に乗っていました。ビギナーズラックであり、考え方を改めるべきだと。妻が苛立つと「あ~、まただ」と思いがちですが、うまくいっている日も当然たくさんあるわけです。私の知らないところで。
そう思ってしまうのは、私のなかで妻がうまくいくことは「普通のこと」になってしまっていたから。一方で、私の場合はそもそも機会が少なかったので「大丈夫かな?」と思われているだろうし、それゆえ大丈夫だったときに「おお~!」となる。機会が少ないことがアドバンテージに。これはずるいですね……。でも、もうそれもここまで。これからうまくいかなさにもたくさん出会うのは目に見えています。嘘も方便、なんて考えたことの罰が当たるくらいに。
百発百中うまくいくようになる日が来たときには、ちょっと調子に乗ろうかなと思います。
花まる学習会 榊原悠司