小学生|神経質で繊細なわが子。心を強くするコツは…?

小学生|神経質で繊細なわが子。心を強くするコツは…?

<子育て・お悩み相談>

Q.娘は赤ん坊のころからよく言えば繊細、悪く言えば神経質な子どもでした。大きくなった今もそれは変わらず、親戚や友だちのささいなひと言にひどく傷ついたり、怖がりで新しいことに挑戦するのにも時間がかかったりします。強い子になってほしいと思うのですが、どうすればいいのでしょうか。

今回は、このお悩みにお答えします!

親が子どもの神経質な面や繊細さをマイナスと捉える必要はない

親から見れば、子どもの神経質な面や繊細さは、少し心配なことかもしれません。
しかし「繊細」という性格には、マイナス面だけでなくプラスの面もあります。

プラス面は、「ほかの人が気づかないこまかいことに気づく」「人の痛みがわかる」「デリケートである」など。
このような特徴がある子は、持ち前の優しさと気遣いで、派手さはなくても確かな友人関係を築くことができます。

一方で、マイナス面としては「神経質」「傷つきやすい人」「他人を気にして自己主張ができない」などがあげれられるかもしれません。
傷つきやすいあまり、なかなか他人に心が開けなくて、友だちができないということも…。
本当は、じっくりと友情を育むのに向いた性格なのに、繊細さが邪魔をして友だちができないのではかわいそうですよね。

繊細さのいい面が発揮されにくく、よくない面ばかり目立ってしまう原因は「経験不足」という側面が大きいと思います。
こういうときにオススメしたいのが、自然のなかで様々な人とふれあう体験をすることです。

自分の力で解決するしかない環境におかれ劇的に成長したTくんの事例

小学校に入学。友だちとの関係性をうまく築けないTくん

私の生徒で、花まる学習会に年長から7年間在籍したT君という男の子がいました。
まさに「よく言えば繊細、悪く言えば神経質」を地で行く、おとなしく自己主張をしない子。
小学校に入学して1カ月ほど経った頃、お母さんからほぼ毎日、泣きながら電話やメールで相談くるようになりました。

「自分から話しかけることができず、休み時間は1人で過ごしている」
「友だちに言われると断れない」
「ささいなことで傷ついて自信を失ってしまう」
「最近はいじめの対象になっているようだ」
というのです。

お母さんと連日話して気づいたのは、T君には友だちと遊ぶ経験や、1人で逆境を乗り越える経験など、同じ年ごろの子どもが通過している経験が少ないということ。

「Tはおとなしいから」「Tは傷つきやすいから」と、大人が先回りして、いろんなことから守っていたのです。
「T君には、変わるきっかけが必要かもしれませんね」私はお母さんを説得し、T君をサマースクールに誘いました。

子どもだけで過ごすサマースクールで、いじめられていたTくんが変わった

花まる学習会のサマースクールでは2泊3日、子どもだけで過ごします(冬には「雪国スクール」を行います)。
空き時間、T君の班は「誰がいちばん走るのが速いか競争」をしていました。

しかし、運動神経があまりよくないT君を見て、同じ班の子が口々に、「あいつどんくせ~」「走り方もなんか気持ち悪い…」といい始めました。

そんなやりとりを私が見守っていると、普通に走ることに飽きた同じ班の誰かが「今度は後ろ向きで走ろうぜ!」と言いだし、まわりもそれに賛成しました。
すると、普通に走るのは遅いT君が、なぜかものすごい速さで後ろ向きに走ったのです!

いじめのムードは一変して、「Tすげ~! 速い!」と、賞賛の嵐。
結局、後ろ向きに走ることに関しては、あとから参加してきた上級生よりも速かったT君。
ついたあだ名は「チャンピオン」でした。

その後のサマースクールの期間中は、今までは何ごとにも消極的だったT君とは別人。
言葉遣いや歩き方も堂々としていて、サマースクールが終わってみんなとの別れ際も、チャンピオンのT君は大人気でした。
これには、お母さんもびっくりしていました。

神経質・繊細なわが子を「守る子育て」から「見守る子育て」に

大人が先回りして用意する環境では、T君は多分変わりませんでした。
子どもたちの世界に配慮はありません。
それが時に無慈悲で残酷な場面をつくることがありますが、社会でも同じ。

社会に出れば誰も配慮なんかしてくれません。
自分の道は自分で切り開くしかないのです。
そしてこういうことは、4~9歳の幼児期に体で覚えるしかないと私は思います。

頭で「こうすればできる」と考えても、その通りにいくとは限りません。
実際に子ども同士でもまれて、その中で傷ついたりしながらも自信をもてる経験をする。
その経験の積み重ねが、「生きる力」を身につけることにつながります。

繊細さを尊重して、伸ばしてあげるのは素晴らしいことです。
でも、繊細さがあまりよくない方向に発揮されていると思ったら、「自分の力で解決するしかない環境」にあえて子どもを置いてみましょう。

子どもの成長とともに、子育ても、「守る子育て」から「見守る子育て」にステップアップしませんか?
10歳になる頃には、繊細さと強さを兼ね備えた娘さんに変わっているかもしれませんね。

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野外体験とは?

どのような時代になっても必要とされる力。それはどんな環境でもたくましく生き抜こうとする強い意志力、行動力、そして経験である。日々の困難に立ち向かい、自分の持てる力を最大限にクリエイティブに発揮し続けること。そのような力を養う舞台として、野外体験は最高の場です。

花まるグル―プの野外体験は、バカンスではなく、ツアーでもない、「生きる力」を育むスクールです。

親元を離れ困難にぶち当たったとき、どのように考え、どう行動するか。解決の糸口さえ見えない人間関係でのトラブル。様々な問題にどう立ち向かうか!壁にぶつかったときに「よっしゃ~!」と思えるかどうか。常に何かを問われているのが野外体験です。「楽しかった」「良い思い出が出来ました」だけではない、甘くない世界でこそ子どもは成長すると考えています。花まるグループの野外体験は、今後も本当の意味での「体験」=「生きる力」を追及していきます。

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