あのときの自分がいまにつながっている…。みなさんにもそう思えるできごとがあるのではないでしょうか。あの経験があるから、いま自信を持ってやれていることがある/いま自分を奮い立たせることができる/いま目の前のことを楽しめている…。いろいろな「あのときの経験があるから」があると思います。
中学から大学まで、バレーボール部に所属していた私。中学の頃は弱小校、「楽しくやれればよい」というチームだったのですが、高校に入ると一転、すごく厳しい練習が待っていました。厳しさの意味に納得がいけばよかったのですが、当時は「ここまでやる必要ある?」と理不尽に感じて、嫌気がさしていたことを覚えています。練習しても上手くなる気がせず、やる意味を見失う時期が長かったのですが、小さい頃から「はじめたらやり抜く」「中途半端に辞めない」家訓がわが家にあり、当時はやり続けるしかありませんでした。幸いメンバーに恵まれ、部活は続けられたものの、競技への熱は下がっていた私。にもかかわらず、大学でも同じ競技を続けることにしました。「環境が変われば」という気持ちがあったのかもしれません。
高校と異なり、練習メニューも戦略も、自分たちで考えることになった大学時代。ここで活きたのが、高校時代の練習だったのです。メンバーそれぞれが経験してきた練習内容を出し合って、「なぜこの練習だったのか」「この練習の意図は何か」などを議論しました。そこで見えてきたのは、かつての練習はただ厳しいだけではなかったということ。どれも試合で活かせるプレーにつながっていることに気づきました。振り返れば、高校時代の練習はいまの自分に活かせるものばかり。そう思えると、競技へのモチベーションが一気に上がり、練習にも身が入るようになりました。
花まるの授業のなかで1年間の振り返りをした際、4年生のAくんは「最初、まだ学校で習っていない算数を予習するのが大変だったけれど、いまはだいぶ慣れてきた」と、4年生のBちゃんは「Sなぞは大変な問題が多かったけれど、お父さんとやっているうちに楽しくなってきた! いま思うと解説会、よくやったなぁーと褒めたくなった」言いました。今年から高学年コースに入ってきた子たちにとっては、「予習をしてくる」ことや、高度な思考力問題に挑戦することに困惑したかもしれません。それでも、みんなの成長っぷりは、それぞれ振り返った通りだと思います。
また、伸びしろがあることを上級生が教えてくれました。5年生のCちゃんは、「準備がいるものも、しっかり準備できるよう、計画できるようになった」と、5年生のDくんは「品詞や文章の読み方がわかってきて、読解が楽しくなってきた」と語ってくれました。宿題に追われた昨年と異なり、必要な準備を自分で考えて計画を立てられるようになってきたのは、大きな成長ですね。読解に関しては、1年を通して深く理解できるようになったことで、楽しいと思えるようになってきたようです。やるほどに慣れ、そして自分で考えて動けるようになったことも大きな成長です。
最後にもう一つ。振り返ったときに、誰かの存在があると思います。私の場合は、辛いときも支えてくれた高校の仲間、「やり抜きなさい」と厳しくも背中を押してくれた両親、そして意味ある時間を提供してくれたコーチ。改めて、私たちは人とともに強くなる生き物だと感じます。振り返りのなかで「Sなぞ解説を家族に聞いてもらえた」「わからないときに、お母さんが相談にのってくれた」などの声もありました。お忙しいなか、子どもたちと一緒に考えてくださり、背中を押してくださり、ありがとうございました!
オンラインであっても、孤独ではない。
多くの人たちに支えられ、刺激を受け、自分は強くなっている。
そして、それが結果的に自立的な学びにつながっていく。
これからも、子どもたちが楽しく前向きに学べるよう、子どもたち一人ひとりとコミュニケーションをとり、支えてまいります。
花まる学習会 前原匡樹(2023年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。