以前住んでいた家の前にあった、共同駐車場のスペース。そこは、アスファルトが平らではなく傾斜がついていてくぼみのある場所があり、雨が降ったあとにはとても大きな水たまりができました。
水たまり × 子ども = ばっしゃーーーん
と、なりますよね。わが家も例にもれず、大きな水たまりができるや否や、当時保育園児だった長女、長男は二人とも、バシャバシャバシャと突っ込んで遊びたがっていました。
外遊びは大事。何かに夢中になれる経験も大事。(水たまり遊びなんて、子どものうちにしかできない、キラキラした原体験だ、どんどんやれー!)と応援したい気持ちもあるにはあるのですが、母親としては、(ちょっと待って……)とSTOPをかけたくなる気持ちもあります。
「遊ばせる」という判断をする前に、さまざまなイメージが頭に浮かぶのです。
①いま(平日の夕飯前)、泥だらけになったら、先にお風呂だよな。でもおなかも空いているから何かつまませてお風呂にすると、絶対夕飯は食べないで寝る前におなかが空くパターン。このあとの、寝かしつけまでの生活リズムが全部崩れて大変だな……
②泥水だよなぁ。雑菌をもらって、万が一風邪をひいて明日保育園を休むことになったらかわいそうだし、今週は仕事がかなり立て込んでいるから私も困るな……
③(○○さんの家は水たまりでバシャバシャ遊ばせて非常識だ)って、まわりの人から変に思われないかな……
母の強みの一つである、子どもに対するイメージ力。それがあるがゆえに、リスクも想像してしまい、なかなか【思いっきり遊ぶ】ということにGOサインを出せなくなってしまう自分がいます。
最近、高濱が講演会で、人生の4つの落とし穴
1.やらされ 2.比較 3.人目 4.コンプレックス
について話すことがあります。
※詳しくは、2022年3月号の高濱コラムをお読みください。
子ども向けのメッセージではありますが、読んでいくと親である私自身について、考えさせられることも多いなぁと思います。今回で言うと、たとえば③のまわりから変に思われないかな、は、私自身が「人目」の落とし穴にはまっている状態です。
いろいろ考えすぎてしまっているときはシンプルに、【親である私は、結局、子ども時代に何を一番大切にしてほしいのか?】にしぼるのがいいのかもしれません。
――子ども時代に、何を一番大切にしてほしいのか?
各家庭で答えはちがうと思いますが、2024年の年始に改めて考えてみた結果、私の場合は「心の底からわくわくする原体験、遊び」だということに気がつきました。いろいろと欲張りたい気持ちはありますが、何か一つと言われたならば、いまはそうなります。
なので、親の都合でいろいろ思うところはぐっとこらえて、大きい水たまりがあり、そこに子どもが飛び込みたがったならば、そっと見守るスタンスでいくことにしたいと思います。
花まる学習会 勝谷里美
🌸著者|勝谷 里美
花まる学習会の教室長を担当しながら、花まる学習会や公立小学校向けの教材開発や、書籍出版に携わる。現在は、3児の母として子育てに奮闘中。著書に『東大脳ドリルこくご伝える力編』『東大脳ドリルかんじ初級』『東大脳ドリルさんすう初級』(学研プラス)ほか