【花まるサマースクール2023】カトパン/加藤崇彰🌻カトパンと行く!究極の野外体験 無人島サバイバル

【花まるサマースクール2023】カトパン/加藤崇彰🌻カトパンと行く!究極の野外体験 無人島サバイバル

2023年度の花まるサマースクール、現場からのレポートをお届けします!
今回は、「カトパンと行く!究極の野外体験 無人島サバイバル」のコースを引率した「カトパン」のレポートです。

 

🏝無人島サバイバル🏕

無人島という普段の生活とはかけ離れた環境に、お子さまの背中をそっと押して送り出していただきましたこと、誠にありがとうございました。


【1日目】
集合場所である福山駅に無事全員が集合し、そこから貸切バスに乗って船着き場がある安芸津町を目指しました。バスのなかではリーダークイズや名前覚えゲーム、インタビューなどをおこない、ともに過ごす仲間のことを「知る」時間を取りました。また、無人島は未知に包まれているからこそ、子どもたち一人ひとりの危機意識も必要です。そこで、改めて無人島の5つの掟や危険生物などの説明をおこない、気持ちを引き締めつつ楽しみ尽くすことを確認し合いました。


無人島コースのテーマは「挑戦」だと子どもたちに伝えました。一歩勇気を振り絞って踏み出すことで、見える世界はガラリと変わります。普段の生活とはかけ離れた無人島での生活を前に、子どもたちはおそらく葛藤する場面がたくさんあると思います。そんな場面で最初から諦めるのではなく、そんな場面に出くわしたときこそ挑戦しよう!とみんなで気持ちをひとつにしました。


船着き場に到着し、花まる学習会所有の初号「花まる丸」と、2号「夢来丸(ゆめきまる)」の2艇に乗り換え、無人島を目指しました。「夢来丸」には、子どもたちの「夢」をのせて「来」島を目指し、そして来島で子どもたちの夢が決まる(叶える)!という想いが込められています。


島に到着して最初のミッションは荷物おろしです。船をつけた浜から活動拠点場所まで一列に並んで、バケツリレー方式で荷物を運び入れます。子どもたちの荷物に加え、飲料水や食料なども運びました。無人島は一見不便で溢れています。でもそんな不便な生活を仲間とともにすることで、仲間の存在に気がつき、一人では何もできないことに気がつく、そんな場所でもあります。声をかけ合いながら、力を合わせてひとつのことを成し遂げ、みんなで達成感を味わいました。


そして、滞在中の安全を祈念して、花まる子ども冒険島の旗を掲揚し、3泊4日のサバイバル生活がスタートしました! まずは、島での過ごし方レクチャーをおこないました。電気、水道、ガスが無い無人島には、それを補うためのシンプルなものがあります。水は飲料水と洗い物用の水を用意しており、洗い物用の水は500Lタンクを島に設置し、本土から持参した水を入れて使用しています。歯磨きをするときに30秒間流し続けると6Lの水を消費することを例に、今回ともに生活する26名がそれを行うと30秒で156Lの水が消費され、さらに、それを2分間続けると500Lタンクが空になることを伝えました。普段の生活ではなかなか水の消費量について触れられませんが、無人島に設置してある水タンクにはメモリが付いていて可視化できます。そこで、使用する水の消費量の目標値を150Lに決め、限られた資源について思いを馳せながら活動することにしました。トイレは、災害時などにも利用できる簡易トイレを設置しており、こちらは、水が止まり、排水管が壊れてしまったときにご家庭でも使えるものです。黒ポリ袋と尿を固める凝固剤に加え、消臭効果のあるごみ袋もセットになっています。ご家庭でも防災用として「災害用トイレ」を備蓄することをおすすめいたします。


レクチャーのあとは、日陰にレジャーシートを広げて持参した昼食を食べました。そして自分たちの寝床づくり(テント立て)へ。普段は当たり前にあるものが無人島にはありません。衣食住、そのすべてにかかわり、一つひとつの時間を噛みしめるとともに、仲間と協力しなければ成し遂げられない環境下で、子どもたちの団結力が一層深まっていくのを感じました。汗だくになりながら仲間と協力して一生懸命頑張った子どもたち。扇風機やクーラーが無くても、無人島には海が「ある」!そこで、テントを立て終えたら水着に着替え、海に入って火照った身体を冷やしました。また、万が一船から落ちてしまったときを想定して、行きのバスのなかで確認した「ういてまて」という水難学会が提唱する水難事故への対処方法の練習もおこない、起きるかもしれないと想定しておくことで防げるパニックや事故があることを確認し合いました。そして海水ドラム缶風呂の水汲み対決をおこないました。子どもたちは常に全力投球!全身びしょ濡れになりながら、競い合いました。


次は、再度作業着に着替えて「職人」による火おこしレクチャーです。まずは、一人一箱マッチを使い、マッチの擦り方の練習です。なかには火が怖くて「怖くてできないよ…」と言っている子もいましたが、一歩勇気を振り絞って挑戦!そして、成功!3泊4日の無人島滞在時は、このような子どもたち一人ひとりの挑戦する場面が、たくさん散りばめられていました。そんな子どもたちの挑戦を間近で見ている我々スタッフから、子どもたちの挑戦を承認する機会を増やせればと思い、スタッフの心に留まった子どもたちの言葉や行動に対して、無人島シールをプレゼントしました。お子さまの名札にシールが貼ってありましたら、どんなことでもらったのかをぜひ聞いてみてください。


火おこしレクチャーを受け、自分たちで火をおこし、飯盒でお米を炊きました。最初は焚き付けにうまくいかず失敗することもありましたが、失敗することで学べることもあります。「じゃあ次はこうしてみよう!」と何度も挑戦する子どもたちの姿があり、そのすべての経験が子どもたちの血肉になっていくのだなと思いました。


1日目の夕飯は、自分たちで炊いたお米とすき焼きを食べました。無人島でのルールのひとつに、作ったものは残さず食べるというものがあります。ものが限られている状況で、いかに無駄を出さずに資源を大切にしながら生き延びるか。活動一つひとつに想いを馳せながら無人島での時間を過ごしました。また、片付けも大事な仕事の一つ。その場で片付けをしなければ、次にその道具を使うときに苦労します。だからこそ、溜めずにその場で完結させる。無人島で気持ち良く、そして限られた時間を効率よく過ごすための知恵を、身をもって学んでいきました。


この日の「焚火6-6」(焚火を前に、あるテーマに対して全員が1分間で発表内容を考えたあと、一人1分ずつそのテーマについて発表していく活動)は、子どもたちの体調を考慮しておこなわず、日記のみを書いて就寝しました。「感じて、考えて、言葉にする」。いましか書けない言葉やリアルな想いを、気持ちの熱いうちに言葉にしてしたためました。就寝時は、虫の大合唱!秋の訪れを自然から感じながらの就寝となりました。


【2日目】
起床後は、花まる名物の「お片付け競争」からスタートです。これまでに参加した花まるの野外体験での経験を思い出しながら、テント内の片付けをおこないました。普段から整理整頓を心掛けておくことで、次への行動が早くなり、無人島での時間をより楽しむことができます。優勝したチームの良いところを吸収し、残りの無人島生活の送り方についてみんなで考えました。


その後、干潮時に合わせて浜をぐるっとまわり、磯の生き物の採取レクチャーをおこないました。石の下にはカニが隠れていたり、岩と岩の隙間にカメノテやマツバガイなどがあります。3日目のサバイバル本番に向けて、食料調達の仕方について学びました。 また、浜の清掃活動もおこないました。拾ったゴミを確認してみると、缶や瓶のカケラ、ペットボトル、発泡スチロール、コードなどがありました。これらの海洋ゴミは、7~8割が街から流れてきていること、そしてこのままでは2050年には魚よりも海洋ゴミの方が多くなることを伝えました。また、浜の端にはとても細かくなった発泡スチロールが溜まっていました。こうした細かくなったマイクロプラスチックを魚が食べて、それを人が食べる。人の行動一つが、巡り巡って人に返ってくるのです。無人島にいながら、普段の生活に想いを馳せる時間になりました。


この日の朝食はカートンドックを作りました。コッペパンにチーズとソーセージを挟み、アルミホイルで巻いて持参した牛乳パックに入れる。そして、マッチで牛乳パックに火をつければ、トースター代わりになります。頭を使って知恵を絞れば、生活は豊かになる、そんなことを感じる朝となりました。


午前の活動は、釣りレクチャーの予定でしたが、炎天下で風もなく、このまま活動をすることに命の危険を感じたため、海に入ってクールダウンをしました。そして、水着のまま海水ドラム缶風呂用の水汲み対決も行いました。一部行程を変えたことで新しい発見も!それは、午前中からドラム缶に海水を溜めておくことで、太陽の熱でドラム缶内の海水が温められ、夕方お風呂に入るときにはほとんど沸かす必要がなかったのです!資源の節約にもつながる生きる知恵。自然のもつパワーを身をもって感じるひとときでした。


そして、作業着に着替えて釣りレクチャーへ。一人1本自分の竿を組み立てました。「お昼を食べないで早く釣りをしたいよー!」という声も挙がりましたが、体が一番!一度森のなかに入って木陰で昼寝をしました。この木陰がまた素晴らしく、タープ下の日陰とは温度がまったく違うのです。自然の偉大さを感じながら、しっかりと身体を休め、次のミッションに向けて体力を回復させました。


休憩後に昼食を食べ、その後釣りをする予定でしたが、無人島はいまだ炎天下…。このまま釣りをすることに危険を感じ、自分たちの命を守るために、もう一度海に入って身体を冷やすことにしました。究極の野外体験、太陽の熱や海の冷たさなど、全身で自然と対峙し、そのなかで生き抜くための知恵を体感する時間となりました。


身体をしっかりと冷やし、釣りは30分という短い時間でしたが、4匹のキスを釣ることができました。そのあとは昨日もおこなったかまどでお米を炊くための焚き付けをしたのですが、1日目にうまくいったことや改善点を話し合いながら、どうしたらよりよくできるのかを考えて行動する子どもたちの姿がありました。


2日目の夕飯は自分たちで炊いたお米と無人島カレーを食べました。この日の「焚火6-6」は、『この2日間を振り返ってあなたは何を感じましたか?』『あなたにとって幸せとは何ですか?』『どんな大人になりたいですか?』について語り合いました。


【3日目】
いよいよ3日目はサバイバル本番!究極の野外体験「釣れなかったら醤油メシサバイバル」をおこないました。この日のミッションは、

①3食必ず食べるべし
②とったものや作ったものは残さず食べるべし
③開拓作業に挑戦するべし(30分)
④必ず昼寝をするべし(30分以上)
⑤必ず海に入ってクールダウンをするべし
⑥片付けのチェックを受けて、次の行動にうつるべし
⑦薬チェックを受けるべし
⑧必ず風呂に入るべし
⑨焚き火場集合19時を守るべし

です。まず子どもたちはチームで目標とスケジュールを立てるところからスタートしました。これまでの2日間の経験を活かし、どうしたらすべてのミッションをクリアできるか。役割分担をしたり、先に準備をしておいたり、各チームで知恵を出し合いました。


一人では到底乗り越えることができないミッションを前に、一人ひとりが自分の持ち場で輝き出しました。磯を歩いて食材調達をする子、ひたすら釣りをして大物を狙う子、かまどの前で火の番をする子、仲間に声をかけてスケジュール管理をする子、それぞれの得意分野でお互いをカバーし合い、生活が成り立っていく様は圧巻でした。誰か一人が欠けてもチームは成り立たず、みんなと支え合って、いまを一生懸命に生きる子どもたち。人と人とが触れ合い、心が通い合った空間になっていきました。一方、葛藤もたくさんありました。自分がやりたいことだけをするのでは、チームとしてやらなければいけないことは進みません。普段の生活ではスイッチ一つで簡単に思い通りになりますが、無人島ではそうはいきません。お米を炊くにもお風呂を沸かすにも火の管理が必要で、生活をするためにはとにかく時間がかかるのです。スケジュール通りに進まず、軌道修正をしながらサバイバル生活を送りましたが、それも学びの一つ。思い通りにならない場所だからこそ、「やりたい放題」と「自由」について考える機会がたくさんあったように思います。


ミッションの一つであった開拓作業も各班で分かれておこないました。開拓の内容は、島の活動拠点を広げるためにダンチク(ヨシタケ)の根っこ堀り作業です。花まる子ども冒険島では、島の開拓に携わっていただいた方々のお名前を、プレートにして島に残しています。そして、今回参加してくれた子どもたちの名前も開拓団の一員として、島に名前を残します!お子さまが大人になったときに、子どもや孫を連れてこの島を訪れ、この日の思い出話をしていただけたら嬉しいです。


この日の最後のミッションは「焚火場集合19:00を守るべし」でしたが、全チームが時間を守り、19時には来島BOOKを持って焚火場に集合することができました。すべてのミッションをクリアしてサバイバル生活をやり抜いた仲間を讃えあいました。そして、無人島最後の「焚火6‐6」をおこないました。この日のお題は、『あなたが大切にしているものは何ですか?』『平和とは何ですか?世の中が平和になるためにあなたができることは何ですか?』『仲間のほめほめタイム(チームの仲間から1人の子に対して、良かったことなどを一言ずつ褒め称える)』をおこないました。


【4日目】
最終日の朝食では、非常食を食べました。災害の多い昨今、いつ自分の身に災いが降りかかってきてもおかしくない時代です。子どもたちに非常食を食べたことがあるか尋ねてみると「賞味期限が切れそうなものを家で食べた」「避難指示が出て避難所に避難したときに食べた」「学校で配られたものを食べた」などの声があがりました。ローリングストックという備蓄方法にも触れてから非常食を食べました。今回食べた非常食は、尾西食品さんの『一汁ご膳』というものです。アルファ米と味噌汁がセットになっており、最悪水やお湯が無くても食べることができる商品です。ぜひご家庭でもお試しください!


そして、無人島滞在最終日の大仕事。その人の性格は、来たときではなく、立ち去るときに現れると言われています。どうしたら次の子どもたちが、そして100年先の子どもたちが気持ち良く無人島を使うことができるのか。4日目で疲れも溜まってきているなかでしたが、最後の力を振り絞り、感謝の気持ちを込めて、花まる子ども冒険島を綺麗にしていきました。


最後に水タンクの残量を確認したのですが、結果は110L!3泊4日のコースでは、水の使用量が一番少ない結果となりました!そこで記念として水タンクに記録を残しました。そのほか、自分たちで出したゴミや汚物もバケツリレーで船に運び込み、島を後にしました。本土では安芸津研修所でお風呂に入り、広島名物のお好み焼きを食べました。無人島生活とは打って変わって文明の利器に溢れた世界。そのありがたさを噛み締める時間になりました。


今回のコースでは、リーダーから子どもたちにメッセージカードをお渡ししております。さらに、高濱先生からのプレゼントとしてマグカップや無人島オリジナルシールもお渡ししております!ぜひご自宅で飲み物を飲む際にお使いいただき、無人島を思い出していただけたら嬉しいです。


保護者のみなさまもご不安なことが多々あったことと思いますが、Zoomオリエンテーションにご参加いただき、そしてたくさんのご準備を、誠にありがとうございました。またどこかでお会いできる日を楽しみにしています。この度は、本当にありがとうございました。



2023年 夏
花まる学習会 カトパン/加藤崇彰

 

 

加藤崇彰(かとうたかあき)/カトパン

花まる学習会(関西ブロック)

 

🌳花まる野外体験公式サイト
https://hanamaruyagai.jp/

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