【花まるコラム】『Aくんも大人になったら誰かの子どもに気づいてあげようかな 』真島健一郎

【花まるコラム】『Aくんも大人になったら誰かの子どもに気づいてあげようかな 』真島健一郎

 先日、息子2人と私の3人で、小田急江ノ島線のスタンプラリーを楽しんできました。中央林間駅、大和駅、湘南台駅、藤沢駅、片瀬江ノ島駅と、たったの5駅でゴールです。とても気軽に参加できるスタンプラリーなのですが、プレゼントがとても豪華で3人とも興奮しました。6枚のオリジナルカード、オリジナルカードフォルダー、オリジナル缶バッジをもらえたのです。
 息子たちは電車が大好きなので、このスタンプラリーとは関係のない江ノ島電鉄、湘南モノレール、東海道線、相模線などにも遠回りをしてでも乗りました。私の計画が甘く、その日の就寝は22時30分頃になってしまいましたが…。
 これだけの電車に乗り、冒険をしていれば、多くの出会いがあるものです。そのなかで最も印象深かったのが、大和駅から湘南台駅まで乗った電車の運転士さんです。先頭車両に乗り、運転士さんをうしろから窓越しに覗いていると、停車中に素敵な笑顔で手を振ってくれました。それだけでも嬉しいのに、さらに「前よーし!」のポーズを一緒にやろうとジェスチャーで誘ってくれたのです。桜ヶ丘、高座渋谷、長後と、各駅を出発するタイミングで息子たちのことを気にかけてくれました。長男は照れて無反応。次男は「運転士さんがーーーー!」と駅ごとに大興奮でした。
 そして、湘南台駅で降車し運転士さんを見ると、やはり素敵な笑顔で手を振ってくれていました。私の感謝を込めた会釈にも反応してくれます。電車を見送り、体を階段に向け、早くスタンプラリー台を見つけようと歩き始めたそのときに、次男が「Aくんも大人になったら誰かの子どもに気づいてあげようかな」と言いました。
 私は、運転士さんに心より感謝しています。自分が使っている物はずっと自分の物、兄が使っている物も自分の物、まるで“ジャイアン”のような次男が、「大人になったら誰かのためになることをしたい」と初めて他者を思う心を備え合わせた大人像を思い描いたのです。私は、この運転士さんとの出会いは、次男の人生観に大きな影響を及ぼす一件だった、と大げさではなくそう感じています。

 私が尊敬する同僚のコラムに、このような一文があります。

「大人の夢中になっている姿を、引き続き私も子どもたちに見せていきたいと思います。」

 私は花まる学習会の先生です。生き生きとした大人の姿を子どもたちに見せることも、大切なミッションの1つです。私の姿を見て、「大人になったら楽しく仕事をしたいな」という思いに至れるような存在であり続けたいと、改めて思っています。

花まる学習会 真島健一郎(2021年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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