【花まるコラム】『間違えてもいいと思えるように』大塚寛子

【花まるコラム】『間違えてもいいと思えるように』大塚寛子

 先日、体験授業を開催しました。今回の体験授業で特に印象深かったのは、年長コースでの迷路の時間です。ページをめくった瞬間「めいろ!?」と目を輝かせる子どもたち。すぐにえんぴつを持って進みはじめる子もいれば、まずは指でなぞる子、スタートからゴールまで目だけで進めてみる子など、取り組み方は十人十色です。そんななか、何度も行き止まりに当たってしまったり、壁を突き抜けて進んでいることに気づかなかったりして思うようにゴールにたどり着けない子もいました。「間違えちゃった…」「これ、できないよ!」と不安な表情になった子どもたちに、ある先生が「迷路はたくさん手を動かした人が勝ちなんだよ。何度間違ってもいい、間違ったときはもと来た道を戻ってほかに行けそうな道を探してみよう!」と声をかけました。すると子どもたちの表情がまた輝きはじめました。間違ってもいいことを知った途端、止まっていた手を動かせるようになったのです。

 私は幼い頃、間違えることは怖いことだと思っていました。ある日、小学生の国語のテストで98点を取りました。一問二点のテストで、一問間違えたことは悔しかったけれど、それ以外はすべて正解していたことを母に褒めてもらいたくて、ドキドキしながらテストを見せました。すると「あら、100点じゃなかったのね…」と残念そうに言われました。いまでは慰めてくれていたのだとわかりますが、当時の私にとってはショックでした。正解していないと褒めてもらえない、認めてもらえない。「間違えることはダメなことだ」と思い込み、間違えることが怖くなった時期がありました。

 花まるに通ってくれている子どもたちには「間違えることはダメなこと」ではなく、「惜しかった!もう一度挑戦しよう!」と思ってほしいです。私は、子どもたちが間違えたときこそ「間違えていい!」と伝えるチャンスだと思っています。間違えた問題は苦手…ではなく、間違えずに解けた問題以上に得意になれる可能性がある問題だよ、と子どもたちに伝えています。間違えていなければ、もう一度考える時間はとらなかったかもしれない。自分が間違いやすい問題に気づかずに重要な場面で間違えていたかもしれない。
 間違えた問題こそ、前向きに取り組めるようになるために。諦めずに「もう一回!」と努力する子どもたちに「一緒にできるようになっていこう」と声をかけ、背中を押してまいります。

花まる学習会 大塚寛子(2022年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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