先月、姉の結婚式に参加しました。コロナ禍ということもあり、親族のみでの式でしたが、姉の晴れ舞台を、透き通った海が広がる沖縄で見ることができたというのは、なんとも感慨深いものがありました。
わが家は姉・私・弟の3人姉弟ですので 、両親にとって、今回の結婚式は一人娘の門出でした。母はウエディングドレス姿の姉を見て涙を流し、父は披露宴の乾杯のあいさつで声を震わせていました。あまり見ない2人の姿。私まで思わず目頭が熱くなりました。
個性的なメンバーの揃う髙橋家。
寡黙なときもあれば、お酒が入ると饒舌になる。最近お腹まわりがさらに目立つようになってきた、ゴルフが趣味の父。
とても心配性で、口を開けば「大丈夫なの?」が出てくる。優しくもいつも力強い言葉で応援してくれる、写真が大好きな母。
思い立ったらすぐ行動。あとさき考えずさまざまなことに挑戦できる、天真爛漫で冒険家の姉。
コミュニケーション下手で無愛想。だが友達は多く、姉弟のなかでは一番運動神経抜群な弟。
たまに鬱陶しいなぁと思うところもありますが、実家に帰るたびに家族のあたたかさや安心感に包まれます。
今回は、もう間もなく「母の日」と「父の日」を迎えるということで、わが家の父と母の話をしたいと思います。
平日は仕事のため帰宅は夜遅く、休日も家を空けることが多かった父。父の姿といえば、夜遅くにニュースを見ながら、リビングで一人夕飯を食べているうしろ姿が思い出されます。普段一緒に過ごすことが少なかったのですが、そのぶん「休みの日に一緒に出かけた思い出」がたくさんあります。近くの川や海で一日中釣りをしたことや、プロ野球を一緒に観戦したこと、二人きりで動物園へ行ったこと。私が野球を始めてからは、父が仕事の合間をぬって試合を観にきてくれることが嬉しくて、ついついバットを握る手に力が入ってしまったこともありました。帰りの車のなかで「あのプレーはこうだ、あのバッティングは良かった」と話した時間も特別な思い出です。普段ともに過ごす時間が少なかったからこそ、一つひとつのイベントが思い出として鮮明に残っているのかもしれません。
その一方、母との思い出は、「何気ない日常の一場面」のなかに多く残っています。学童から自宅に帰るまでの数分間に、学校でのできごとを話したこと。台所で一緒に料理をしたこと。暗くなるまで野球の練習につきあってくれたこと。母と一緒に過ごす時間が多かったからこそ、日常が特別な時間になっていました。
私が野球を始めてからは、いつも練習や試合を観に来てくれて、趣味である写真を撮ってくれました。いまも実家のアルバムには当時の写真が残っていますし、パソコンには膨大な数の写真データが眠っています。友達からは「駿輔のお母さんすごいよね」と言ってもらえるほどでした。母の撮ってくれた写真があるからこそ、昔の思い出も色褪せることなく残っています。
そんな父や母にはたくさん迷惑をかけてきました。野球の試合があるときはどんなに朝早くても送迎してもらい、1日練習があるときにはお弁当を作ってもらい、小さい頃には暴れまわって家のものを壊し、反抗期にはイラッと来た衝動で壁に穴を開けたこともありました。姉弟のなかで一番苦労をかけてしまった自信があるほどです。
しかし、どれだけ叱られても、どれだけ迷惑をかけても、父と母は必ず近くに寄り添ってくれ、どんなときでも私を応援してくれました。本当に感謝しかありません。
結婚式で、父がこんな話をしていました。
「大変なこともありましたし、いまは家を離れた子もいますが、家族全員集まって、こうして姉の結婚をお祝いすることができて、とても幸せです」
私もだいぶ大人になり、親の手を借りずとも生活できるようになり、実家に帰る回数も年々少なくなってきました。しかし、離れて生活していても、どれだけ月日がたっても、やっぱり家族なのだな、家族はあたたかいなと思えた結婚式でもありました。当日はゆっくりと話ができなかったので、家族みんなを誘い温泉にでも行って、家族との時間を過ごしたいなと思います。
花まる学習会 髙橋駿輔(2023年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。