【花まるコラム】『知るの魔法』本田瑠里子

【花まるコラム】『知るの魔法』本田瑠里子

 一気にあたたかくなり、初夏が近づいてきましたね。春休みはいかがお過ごしでしたでしょうか。私は「デパ地下で買い物をして、桜を見ながらピクニックしたいな~」と思っていたのですが、あっという間に桜が散ってしまい、お花見のタイミングを逃してしまうという春休みを過ごしました。

 お子さまから「なんでこんなこと勉強しないといけないの?」「将来何の役に立つの?」と、勉強する理由を聞かれたことはありませんか?私も昔、「これをやったら何の得になるの?」と親に質問したことがあります。実際、歴史や生物のように日常生活には直結しないことも多くあります。「テストに出るから」とか「受験に必要だから」とか、目先の目的も確かにありますが、知らないと素通りしてしまうことも知っているから楽しめる、そんな経験ができるのが勉強のおもしろさの一つだと私は感じています。

 3月に歴史好きの子どもたちが集う「戦国の城」というイベントを行いました。午前中はオンラインでお城の仕組みについての知識を深め、午後は実際に武蔵嵐山の菅谷城に行きます。余談ですが、小さいものから大きなものまで数えると50,000箇所ものお城がある日本。これは日本のコンビニの数と同じくらいで、一番数が多いのは滋賀県なのだそうです。

 「お城」と言われると、お城の形そのものが残っているものを想像しますが、基本的に形が残っていない城跡ばかり。今回のイベントでお邪魔した菅谷城の城跡も、知らない人が見ればただの原っぱです。しかし、午前中にイラスト、地形図、実際の写真等を見比べて、曲輪(くるわ)、土塁(どるい)、虎口(こぐち)、馬出(うまだし)についての知識を高めた子どもたちにとっては、ワクワクの宝の山。前方を見たかと思えば「この変形馬出から攻撃がきているぞ!」と姿勢を低くして歩き出したり、右側を見たかと思えば「いま、この土塁からわき腹を狙われている!」と岩の後ろに隠れたり、目の前に現れた高い堀を見て「こんなの登り切れないよ」と言いながら、武士になりきって堀登りに挑戦したりして楽しんでいました。子どもたちはもちろん、お父さま・お母さまも、カメラを片手に土塁や堀、馬出を見て「これが本物か!!!」と大興奮。「いままで公園の一つだと思っていたからこんなふうに見たことはなかったけれど、これからはここから狙われているなと思いながら楽しめるね」と話している子も。「私はまったくお城に興味がなかったんですけれど、知ってから来るっておもしろいですね」と保護者の方もお話しされていました。

 学ぶ理由を伝えるには、言葉だけではなく体験をさせてあげることが一番です。ぜひゴールデンウィーク前に、お子さまと一緒に調べて知識を得た状態でその場所に行くおもしろさを経験してみてください。お子さまが感じている勉強への気持ちに変化が表れるかもしれません。                      

花まる学習会 本田瑠里子(2022年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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