今年度も教室で、子どもたちのさまざまな姿を見てきました。多かったのは、躍動している姿や「できた!」と嬉しそうな姿。一方で、葛藤している姿や悔やむ姿も。苦しい経験をした子どもたちは、自分の力やまわりの人の力を借りながら、乗り越え、日々成長していきました。
もうすぐ、花まるでさまざまな経験をし、成長を遂げてきた6年生たちが旅立っていきます。Yくんは年中から約8年間通い続けた一人です。努力家で、優しく強い心の持ち主。8年間、多くのことを頑張ってきましたが、特に力を入れていたのは漢字でした。毎日ノート1ページ分、漢字練習を続けています。計画的にコツコツと練習し、さらにテスト前は、何十問もの問題を解き、とにかく努力を惜しみません。気分が乗らない日もあったことでしょう。ですが、毎週毎週7ページぶん練習したノートを提出してきました。努力している分、結果が欲しいと思うのは当たり前のこと。Yくんは、毎回、特待合格(96点以上)を目指していました。十分に練習して臨みますが、高学年の花まる漢字テストはレベルが高く、なかなか目標を達成できませんでした。目標が達成できなかったテストを返却した日、Yくんが落ち込まないか心配していました。しかし、私の前ではいつも通り他愛のない話で盛り上がり、笑顔を見せていたYくん。後日、帰りの車内で静かに悔し涙を流していた、とお母さまから聞きました。
Yくんの努力は、お母さまも私も知っています。Yくんの努力している姿を知っているからこそ「ちゃんと頑張りを見ているよ」ということを伝えたく、私は、漢字練習ノート返却のときなどさまざまなタイミングで言葉にしました。Yくんも最後の花まる漢字テストまで諦めず、どこが練習不足なのか自己分析をしたり、どのように練習をすれば良いのか何度も相談しに来たりしながら、一緒に頑張ってきました。
頑張りをちゃんとそばで見てくれている人がいる。そのことをしっかりと子どもたちに伝えたいですし、私自身が子どもたちの頑張りを見逃さず、応援できる人でありたいと考えています。
何かをするうえで結果を求めることは、人間の本能だと思います。ですが、毎日続けることや、努力することは簡単にできることではないはずです。頑張った過程は、結果以上のものをもたらすこともあります。子どもたちには、自分の頑張りに目を向けて自信に変え、その経験を強みに変えて、堂々と新たな道を歩んでほしいと思います。どんなところへ行っても決して一人ではありません。子どもたちにとって、保護者の方はもちろん、私も味方です。
この一年間、子どもたちと顔を合わせるのが当たり前ではないということを痛感しました。このような状況下でも通わせてくださっている保護者のみなさまに心より感謝を申し上げるとともに、今後も子どもたちとの限りある一瞬一瞬を大切に過ごしてまいります。
花まる学習会 渡邉みなみ(2022年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。